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3640. 成人発達理論やインテグラル理論に対する消費的態度に関して


昨日、現在監訳中のウィルバーの書籍の本文に対するレビューが無事に終わった。その流れに乗る形で、注記に関してもレビューを進めていき、第二章の注記に対するレビューも終えた。残っているのは、第三章から第六章の注記のレビューだけとなった。

昨日は午後に他の仕事が入っていたため、レビューに割ける時間をそれほど取ることができなかったのだが、それでも着実にレビューを進めることができた。今日は比較的時間があるため、レビューも進んでいくだろう。

ただし、焦ってレビューをする必要はないので、残りの章のレビューを二日に分けることも可能なのだが、今日の午前中のレビューの進み具合と自分の状態などを見て、もしかすると一気に残りの章の注記をレビューするかもしれない。

昨日、浴槽に浸かっている最中に、成人発達理論やインテグラル理論の枠組み、ないしはその他の理論も含めて、多くの人たちがそれらを消費対象とみなす傾向について考えていた。そこには、理論に対する深い咀嚼が欠けており、まるで物をお粗末に消費するような特性が見て取れる。

そこには、理論と深く向き合っていこうという態度が欠落しており、この現代社会を反映するような消費行動だけがそこにある。消費行動は、物質圏のみならず、着実に精神圏にも及び始めているようだ。

さらには、それらの理論を消費する際には、自らの探究や実践が、どのような文脈や世界観に依拠しているものなのかに対して無自覚であるという問題も存在している。そうした無自覚な状態の中で、成人発達理論やインテグラル理論を含む様々な理論が、企業社会における金銭獲得運動のためだけに活用されてしまっているのが現状ではないだろうか。

この問題を解決していくためには、自己及び自らの実践活動が、どのような文脈や世界観の中で生起しているものなのかに自覚的になることが求められているように思う。ただし、そうした気づきを持てる知性を育むことはとても難しく、どうすればそうした知性が育まれるのかについて昨晩考えていた。

言い換えると、どのような条件下で、人々がこれまで無自覚であった文脈や世界観に気づくことが可能かについて考えていたのである。この点についてはまだ良い案が浮かばないというのが正直なところだが、数日前の日記で書き留めていたように、ビル・トーバートのモデルで言えば「専門家段階(エキスパート)」と形容されるような専門性とはまるっきり異なる次元まで、自らの探究や実践を突き詰めていくことは一つ重要になるだろう。

この時、「突き詰めていく」というのは、その領域の知識と技術を高度に養うことではなく、幾分皮肉なことかもしれないが、その領域に対して冷めてしまうほどまで探究と実践を徹底して行うということである。思うに、専門家段階の探究と実践は、そうした点においてとてもぬるいものだと思う。

彼らが自己の専門性から外に出ていくことができないのは、自らの領域に冷める——ないしは醒める——ことができるほどに探究や実践をしていないからのように思えてくる。

数日前の日記で書き留めているように、私自身が伝統的な科学研究に対して感じた冷めは、まさにそのようなプロセスで起こったように思う。伝統的な科学研究でなされていることが、実はある特定の世界観の元に奇妙な形で成立していることに気づいたのである。

その奇妙さは、伝統的な科学研究では決して語られぬことがあるという気づきとなって現れ、伝統的な科学の世界で語られぬことこそが、自分が大切にしたいと思っていることだということに気づかされたのは、遅まきながら昨年のことだったように思う。

だがこれも、実際に伝統的な科学研究を徹底して行うということなしには気づき得なかったことだと考えている。そうした気づきが生まれて以降、なにも科学研究の価値を蔑ろにするわけではなく、むしろそうした価値がいかような文脈・世界観・条件のもとに成り立つのかに自覚的になる形で接することが可能になり始めている。

これと似たようなことが、今後は作曲実践や音楽理論の探究に対しても起こるかもしれない。おそらくそれが起きてからが、本当の意味で自分の創造活動が始まるのだと思う。

そこまでは、とにかく徹底的に当該領域の探究と実践を進めていく必要があるだろう。フローニンゲン:2019/1/6(日)08:06

No.1545: A Lingering Scent of Solace

Now I realized that today was Sunday.

I’ll begin evening work from now, being embraced by a lingering scent of solace. Groningen, 16:01, Sunday, 1/6/2019

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