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3549. 夢から目覚めぬ人々:インテグラル理論と成人発達理論


時刻は午後の五時を過ぎた。今から一時間ほど前に、少しの時間だったが、夕日の輝きを拝むことができた。

今日は一日を通して曇り空であったから、そうしたわずかばかりの時間でも、太陽の輝きを見れたことは喜ばしいことであった。

つい先ほど、ジョン・デューイの“Art as Experience (1934)”の初読を終えた。いくつか感銘を受ける発想があり、それらに下線を引き、自分の考えを書き込んでおいた。

再読する際には、特に音楽と経験に関する記述を中心に読み返していこうと思う。明日は、イラ・ショーの“Empowering Education: Critical Teaching for Social Change (1992)”を読み始める。

タイトルにあるように、本書は社会変革を実現していくための教育とは何かを考察する内容になっている。九つの章から本書は構成されており、そのうちの五つの章は特に自分の関心を引く。明日はまず、それらの章を中心に読んでいくことにする。

来月末にはいよいよ『リーダーシップに出会う瞬間』というタイトルの共著が出版され、その数ヶ月後にはケン・ウィルバーの監訳書籍が出版される。どちらの書籍も世にどのように受け入れられていくのかが今から楽しみだ。

ウィルバーの書籍の監訳の仕事は、来年の二月頃から本格的に取り組むことになるだろう。ウィルバーが提唱したインテグラル理論にせよ、現在日本の社会で少しずつ普及し始めている成人発達理論というのは、究極的には私たちが現在見ている夢から目を覚ますためにあるものだと考えている。

だが、今からおよそ10年ほど前にインテグラル理論が日本に紹介された時には、そもそもこの理論が社会に知られることはほとんどなく、成人発達理論に関しては、その存在が徐々に世に知られ始めているとはいえ、結局のところ、その活用は既存の夢を強化することに留まる。

今年の初旬に『ティール組織』という書籍が日本でよく読まれていたという話を聞くが、本来ティール組織の根幹にある理論モデルはインテグラル理論や成人発達理論であるにもかかわらず、既存の夢から人々が目を覚ます形でティール組織の枠組みが活用されているとは到底思えない。

こうした状況は別に日本に限ったことではないのだが、翻訳文化が発達し、さらには無意識的な欧米コンプレックスを抱える日本においては、そうした外来思想の受け入れ方が浅薄であることがやはり目に付く。

ティール組織の枠組みを活用する実践者が、その根幹にあるインテグラル理論や成人発達理論(具体的にはスパイラルダイナミクスの理論)を学んでいるようにはあまり思えず、仮にインテグラル理論や成人発達理論を学んだとしても、そこからさらに発達理論に関する理解を深めていこうとする実践者はごく稀なのではないかと思う。

今回、ウィルバーの書籍を監訳することになったが、それが多くの人々の動物的な反射・反応の餌食になることは避けたいものである。また、ウィルバーの思想が本質的に持つ「既存の夢から覚めること」という点をどれだけ伝えていくことができるかも大切になるだろう。

ここ何年も、私はいくつかの日本企業と協働プロジェクトを行っているが、それを続けているのは、あえて夢に縛られた企業社会に自己を置き、人々が目覚めることに関与しようという意思があるからだろう。

自分が夢を見ていることに気づけないことほど厄介なことはないが、人々が夢から目覚めることに関与していくことはこれからも続けていくだろう。フローニンゲン:2018/12/19(水)17:42

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