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【成人発達心遊記】13712-13717:2024年12月10日(火)



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タイトル一覧

13712: 【日本滞在記】夢のような1ヶ月間を終えようとして

13713: 【日本滞在記】PIVOTさんでの対談に向けて

13714: 【日本滞在記】心理経済・心理政治が蔓延する社会の中で/成長と幸福の質的発達

13715: 【日本滞在記】生産性の意味の次元に自覚的であること/余白と間の価値

13716: 【日本滞在記】虚無主義を超えて質的深みへ

13717: 【日本滞在記】新R25さんとPIVOTさんでの対談収録を終えて


13712. 【日本滞在記】夢のような1ヶ月間を終えようとして    

     

時刻は午前6時半を迎えた。今、奈良の朝が目覚めつつあり、奈良を囲む盆地の山々の上空にうっすらと朝焼けが見え始めた。雲ひとつない見事な空にこれから朝焼けがさらに色濃いものになっていくだろう。奈良滞在中は天気に恵まれ、一度も雨が降ることはなかった。奈良を出発する本日、こうして素晴らしい朝焼けを拝むことができて本当に幸せである。またいつ奈良に来るかわからないので、この朝空はこれで見納めであり、美しい朝空は次回奈良を訪れた時の楽しみとしたい。振り返ってみると、今回の一時帰国は夢のような1ヶ月間だった。11月の中旬に日本にやって来て以降、毎日が輝きの連続であった。個人的に一番嬉しく思ったのは、2年前の時と比べて得られるものが多く、また日本では終始ありのままの自分で生活ができたことである。日本に対して身構える必要がなく、本当に自然体で生活できていた。この在り方は年々深みを増しており、前々回よりも前回、前回よりも今回と、より自然体な自分が形成されている。とりわけ今回は、本当に最初から最後までありのままの自分でいられたような気がする。こうした点にも内面の深化と自己成長を見る。明日からまた欧州に戻るが、ここから再び欧州での日常を生きる中で、さらに内面を磨き、深いものにしていけば、また次回の一時帰国においてはさらに実りの多い体験ができるに違いない。

今日は日本に滞在する最終日で、基本的には移動の日となる。今日の滞在先は、毎回お世話になっているホテル日航成田で、ここは成田空港から程近く、ホテルと空港の間をシャトルバスで送迎してくれるのでとても便利だ。今日は奈良からホテルに直行するのではなく、一度東京で下車する。今回の一時帰国では一度も東京の地に足を踏み入れておらず、最終日の今日に初めて東京を訪れる。東京では、新R25さんとPIVOTさんのそれぞれのオフィスで対談動画を収録させていただく。どちらも渋谷にオフィスがあり、両者のオフィスは歩いて10分程度なので、オフィス間の移動も快適である。新R25さんでの対談に向けて、昨日の段階で2つのテーマに対して伝えたいメッセージの大枠は考えていたが、新幹線で東京に向かう間にもう少し付け加える論点や観点がないかを考えておきたい。PIVOTさんでの対談は、気心の知れた知人の中竹竜二さんとの対談であり、成長疲労社会に関する自分の考えと、仮にモデルにする社会があるならば、アメリカよりも欧州にそのモデルを求めることができるのではないかというPIVOTの佐々木さんのお考えに基づいて話を進めていきたいと思う。こうして最終日もまた非常に充実した1日なるに違いない。奈良の朝空がそのように語りかけている。奈良:2024/12/10(火)06:43


13713. 【日本滞在記】PIVOTさんでの対談に向けて      


時刻はまもなく午前7時を迎えようとしている。この時間帯になると、奈良の朝の世界はすっかりと夜明けを迎え、JR奈良駅を行き交う列車の音も聞こえ始めてきた。奈良を出発する今朝は、それほど印象に残っている夢を見なかった。夢の感じとして、とても平穏で落ち着きのある世界が広がっていて、夢の世界にはあまり人が登場しなかったように思う。ただ誰か1人の女性とは楽しく話をしていたような感覚だけが残っている。それが誰かはわからない。少なくとも、それは自分の友人や知人ではなく、見知らぬ女性か知り合ったばかりの女性のように思える。夢の世界もまた風が吹き、夢を生み出す阿頼耶識に風が当たるとそれが波を生み、波が私たちが知覚する夢なのかも知れない。これからシャワーを浴びて出発に向けた荷造りをし、それが済んだら朝食を食べに3Fのレストランに降りていきたい。今日は幸いにも出発まで時間があり、昨日京都に向かったのと同じ時間にホテルを出発すればいい。チェックアウトの時間やJR奈良駅で東京に向かう新幹線のチケットを予約する必要があるので、気持ち早めに出発する。それでも朝食後は部屋で少しゆっくりとできそうである。さて、改めて今日のPIVOTさんでの対談のテーマについて少し考えを巡らせておきたいと思う。それは朝食を食べながらも、東京に向かう新幹線の中でも考えを巡らせておこう。それは新自由主義的競争に伴う疲労感に関するテーマであり、このテーマは自分もかつて書籍で言及したものである。なので成長疲労社会に関する書籍の原稿をもう一度ざっと眺め返し、その書籍はかれこれ2年前に出版したものなので、それをアップデートするような意味で今日の対談を行うことができたら大変意義深いだろう。その書籍を出版してから一度もその書籍を自分では読み返していないので、読み返せばきっと新しい発見があるだろうし、さらに思索を深めた意見や考えを付け加えることもできるのではないかと思う。成長疲労社会に対する対策として、組織や国レベルで議論を進める前に、まずは個人がどのようなことができるのかを考える方向性で対話を進めていければと思う。その対話が深まった先に組織としての対応や国としての対応などを時間があれば議論していきたい。個人としての対策としては、兎にも角にも働くことや成長に関する価値観や世界観を発達させることが重要であり、その道筋を提供できればと思う。オランダで9年間ほど生活する中で、オランダ人たちの労働観はライフバランスやウェルネスの観点からも参考になるところが大きい。オランダの労働文化や仕組みをそのまま日本に持ってくることは難しくても、まずは個人のマインドであれば変化を起こしやすいのではないかと思う。もちろん、本来は個人のマインド、個人の働き方、集合のマインド、制度や仕組みの4つの象限が包括的に変わっていくことが望ましいが、成長疲労社会に対する処方箋としては、まずは個人ができることに焦点を当て、それについてかつての書籍をもう一度読み返しながら、今の社会情勢に鑑みた対応策を考える場に今日の対談がなれば幸いである。奈良:2024/12/10(火)07:07


13714. 【日本滞在記】心理経済・心理政治が蔓延する社会の中で/

成長と幸福の質的発達          


時刻は午前11時を迎えた。品川駅まであと1時間ほどで到着する。奈良を出発してからの移動は順調で、とても快適な移動が実現されている。さて、今日はこれから渋谷のオフィスビルで2つの対談をさせていただく。それに向けて考えていることを備忘録がてら書き留めておきたい。現代社会はまさに「心理経済(psychoeconomics)」と「心理政治(psychopolitics)」と形容できるような社会であろう。そこでは最先端テクノロジーやマスメディアが活用され、人々の感情や意志に訴える形で心を搾取する経済と政治が営まれている。心理経済的・心理政治的な隠れた風潮と仕組みが存在することに自覚的であることは、それに無自覚である時に比べて、まずは自己防衛のバリアが張られるかと思う。この点は、オーストリアの教育哲学者イヴァン・イリッチの言葉で言えば、成長や幸福に関する社会の隠れたカリキュラムを見つけることが重要だとも言い換えが可能だ。そこでは成長や幸福を絶対視し、成長や幸福に関する深い議論なしに短絡的に成長や幸福を追い求めようとする隠れたカリキュラムがあり、そのカリキュラムをもとに成長や幸福に関する社会のディスコースが生まれ、文化や仕組みが形成されている。こうした社会全体を見渡し、社会の構造的病理に自覚的になる知性こそがポストコンベンショナル(後慣習的)な知性であり、それを育むことが心の健全な成長と社会の健全な発達において重要になる。社会に隠れた形で蔓延する物語として、健康も成長も、そして幸福も、社会のありとあらゆることが自己責任と自助努力によって得られるという隠れたストーリー構造が存在し、その構造が成長疲労の温床になっている点にも注目せねばならない。確かに自助努力も重要だが、他者に頼り、他者と協働するという他力の道もまた重要である。自力か他力かではなく、自力と他力の双方を持つという中道的な精神で質的に深い成長や幸福を他者と一丸となって求めていくことが大切なのではないだろうか。


今日の最初の対談は、成長と幸福に関するものになる予定だ。アメリカの小説家エドワード・アビーが述べたように、成長のための成長は、癌細胞のイデオロギーである。現在社会で流布する成長観は残念ながら成長のための成長に留まり、結局幸福もまた幸福のための幸福という、それまた癌細胞のイデオロギーのようなものである。成長も幸福も質的発達を遂げるのであるから、今自分が語っている成長という言葉と幸福という言葉の意味の次元に注意深くある必要があり、また社会で語られているそれらの言葉の次元と深みに自覚的である必要があるだろう。成長も幸福も、どちらも自らの力だけで成し遂げようとすると必ずどこかで成長疲労そして幸福疲労を引き起こす。重要なことは、自分にできることを追い求めるのではなく、自分にできないことを発見することによって、他者への敬意や他者との繋がりを醸成しながら成長疲労や幸福疲労に煩わないようにして、一歩一歩成長と幸福の意味の次元を深めていくことなのではないだろうか。品川に向かう新幹線の中:2024/12/10(火)11:12


13715. 【日本滞在記】生産性の意味の次元に自覚的であること/余白と間の価値

   

名古屋を出発し、新横浜を経由して品川に向かう新幹線は順調に進んでいる。今日の日本は全国的に天気が良いようで、これから向かう東京も晴天に恵まれるようなので何よりである。奈良の夜は冷えることがあったが、結局山口県の地元のユニクロで購入した極暖を着ることはなく、それはオランダに戻ってから活躍しそうである。


成長と幸福のテーマについて、質的に深い成長と幸福を実現する時に、生産性という言葉をどう関連づけることができるだろうかと考えていた。確かに、成長と幸福を実現する際に生産的であることは重要な鍵を握るが、注意しなければいけないのは、過度に生産的であろうとすることやパフォーマティブであろうとすることもまた成長疲労や幸福疲労をもたらすということである。無目的に生産的であろうとする態度は、結局何か外部からの駆り立てであり、そうした駆り立てによる生産性向上はどこかで歪みを生む。日本では様々なところで制度疲労が見られ、非生産的な事柄が蔓延しており、それらは確かに脱却していかなければならないが、個人は生産的であろうとすればするだけ、逆に疲労し、非生産的になっているような現状が見受けられる。ここで一度立ち止まってどの次元の生産性のことを述べているのが、生産性という言葉の再定義から出発するのが良いのではないかと思う。それ以外にも、私たちは成果や達成を求めて、常に何かをしようとするが、「あえて~しない」という意識を持つこともまた重要だろう。私たちは端的には、“doing driven”なのであり、何かをしようとする衝動を緩めるためにも、あえて何かをしないという事柄を増やしていくことは心の余白を生み出してくれるはずであり、そうした余白こそが真に自己を深め、真に人生を充足させてくれるのである。そうした意味で、活動の断捨離を推奨し、観想的な生活を営むことの妙味を伝えたい。今回の一時帰国では改めて余白の価値や間(あわい)の価値を再確認することになった。1ヶ月ほどのゆとりのある旅を行う中で、自分の中でより一層余白を生み出す力が増し、余白から力を汲み取れる土台が堅牢なものになっていった。真の意味での成長や幸福は、決して強迫的な駆り立てから生まれるのではなく、創造性を司る余白から自然と醸成されることを絶えず念頭におきたいものである。そうした意味で目的を持たない無為の活動や無為の旅、さらに単純に何もせずにぼんやりと時間を過ごすことも成長疲労症候群のビジネスパーソンには大切な処方箋になるだろう。また、目的を持たない遊びに従事することもまた成長疲労に対する自己防衛的な重要な処方箋になるに違いない。成長疲労の問題を社会的に解決していくためには、量的成長に奔走することを降りる人が増えてマジョリティを形成することは1つの大切な方向性であり、それを受けて徐々に成長疲労社会を脱却する文化や仕組みが醸成されてくることが期待される。品川に向かう新幹線の中:2024/12/10(火)11:21


13716. 【日本滞在記】虚無主義を超えて質的深みへ  

 

あと30分ほどで品川に到着する。いよいよ楽しみにしていた渋谷での対談が近づいている。今回の一時帰国における実質上最後の仕事が今日の2つの対談収録となる。今自分が持っているものを自然体の形で全て発揮できるようにしたい。それは自分の自我から生まれた願いというよりも、利他性に開かれ、より高次の存在に開かれた純粋な願いである。今回の対談が誰のもとに届けられるのかは定かではないが、きっと自分の思いを汲んでくださる方は日本に少なからずいるだろう。そうした共感の輪を広げる形で、今よりも一層深い質的な成長と幸福が多くの人にもたらされることを期待しているし、社会全体が量的なものへの病的な囚われを脱却し、同時に成長や幸福なんてどうでもいいという虚無主義に陥ることなく質的な深みを希求する形で自己と人生を深めていってもらいたいと思う。そこには深さを味わう喜びと楽しさがきっとあるはずなのだ。成長も幸福も一筋縄では実現されないが、深い次元の成長と幸福は追求されるに相応しい価値を帯びている。自己も他者も世界も、深層的には輝きを有していて、その輝きが発露し、顕現し、それを鑑賞することほど楽しいことや喜ばしいことはないのではないかと思う。


自ら問いを立て、その問いの解決に向けて学びや実践をしていくことは尊いが、自らの問いは往々にして現在の自我に縛られたものでもあるため、自己の問いを手放して、ヴィクトール・フランクル的に、私たちがこの世界から何を問われているのかというより次元の高い問いと向き合うことが大切なように思う。確かに、自分は日々自己や世界に対して問う存在として生きている。しかし今はそれだけではなく、自己の深層部分から自分に問われていることや、世界から自分に問われていることに自覚的な自己がいる。そうした自己の醸成は、間違いなく自らの問いだけを追い求めてきていた時よりも平安の境地が体現されている。そこには軽やかさがあり、存在の深部からもたらされる絶対的な安心感と落ち着きがある。今日の対談もまた深く寛ぎ、軽安の精神で対談相手の方々と話を進めていければと思う。そうすればきっと大切なものが即興的にその場に自ずから開かれていくはずである。品川に向かう新幹線の中:2024/12/10(火)11:33


13717. 【日本滞在記】新R25さんとPIVOTさんでの対談収録を終えて    


時刻はまもなく午後8時を迎えようとしている。今、成田空港に向かうスカイライナーに乗車している。振り返ってみると、日本滞在の最終日の今日もまた本当に充実していた。朝に奈良を出発し、まず最初に渋谷にあるアベマタワーに向かい、そこで新R25の編集長である渡辺さんと2本取りで対談動画の収録をさせていただいた。前回の対談動画も好評を得ていたようで何よりであり、今日の対面での対談はより充実した内容になったのではないかと思う。まさに現代の企業社会が直面している具体的な課題や蔓延している歪んだ成長観・幸福観に関してお互いの意見を交換し合うことができ、現状分析のみならず、そうした課題に対して私たちが今日から明日から何ができるのかについても対話をさせていただいたことに感謝している。アベマタワーに来るのは今回初めてだったので、渋谷駅から少々迷った。そもそも渋谷駅でもハチ公前改札がどこにあるのかわからず、山手の線を降りてさらに1Fに降りないといけないということをすっかり忘れていた。というよりも鼻からその知識がなかったように思う。せっかくの機会ということもあり、渡辺さんとは対談後も1時間ほどお時間を取っていただき、アベマタワーの共有スペースのラウンジで話をさせていただいた。今回の2本の動画が世に公開され、どのような反響が得られるのか楽しみである。アベマタワーでの収録終えた後に向かったのは、PIVOTさんのオフィスがあるJPR原宿ビルである。そこの1Fのスタバで今回PIVOTさんとの関係を作ってくださった知人の中竹竜二さんと会って会話をした。竜二さんとはゼミでもお世話になっているが、今回こうして対面でお話をさせていただくと、やはりそこでしかできない話があり、50分ほどであったが話に花が咲いた。その流れを受けて、2FのPIVOTさんのオフィスにお邪魔させていただき、編集長の佐々木さんと一緒に3人で人間の器について対談をした。その対談でも出てきた話題なのだが、佐々木さんも即興性を大事にしておられるらしく、事前の打ち合わせはほぼ無しで3人で即興的に対話をできたことはやはりとても楽しく、即興性によってしか開示されない新たな発見や気づきをもたらしてくれる貴重な機会となった。今日はこうして充実した対話を様々な方たちと行わせていただけたことに本当に感謝であり、これでもう心置きなく明日欧州に帰ることができる。日本滞在の最終日はこのようにして、喜びと楽しさ、そして充実感と幸福感に包まれる形で幕を閉じることになった。成田空港駅に向かうスカイライナーの中:2024/12/10(火)20:02


Today’s Letter

This is my final day in Japan. Looking back, this one-month stay has been very meaningful. It will undoubtedly contribute to my personal growth. I look forward to gradually processing everything I experienced during my time here. I deeply appreciate this fruitful opportunity to enjoy Japan. Nara, December 10, 2024

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