時刻は午前七時を迎えた。日の出まであと一時間以上ある。日の出の時間を迎えても、今日は朝日を拝むことは難しいだろう。
今は辺りが闇に包まれているため、空の様子は分からないが、天気予報を見る限り、空は雲に覆われているようだ。
今、一日分のコーヒーを入れ始めた。コーヒーメーカーの動く音を聞きながら、今朝方の夢の続きを思い出している。
夢の中で私は、小中学校時代を過ごした社宅にいた。自分の部屋にいて、畳に寝転びながら本を読んでいた。
すると、母が私の部屋にやってきて、相談事があるという。母の手には新聞があり、その中の一面を広げて私に見せた。
なにやら、ある大手の製鉄メーカーが経営危機に瀕しているらしく、株を一気に市場に放出するらしい。新聞記事の最後には、市場に売りに出した株を公募する旨の文章があった。
母:「これ、どう思う?」
私:「えっ?」
母:「ちょっと面白いなと思って」
私:「この株を購入することが?」
母:「うん。株式投資はしたことないけど、この株はチャンスだなって思ったのよ」
私:「う〜ん、ちょっと記事をもう一度見せて」
そう言って私は新聞記事をもう一度読んだ。確かに、その大手の製鉄メーカーは経営不振により経営者を交代し、現在その株価は過去に例を見ないぐらいに下がっている。
だが、その会社が今後どのような経営者を雇い、どのような事業を進めていくかの見通しがなければ、ここで株を購入しても値上がりする保証はないと思った。記事を読むと、どうやら新しい経営者は、米国の名門戦略系コンサルティング会社の出身の人物のようだった。
母は何かと勉強熱心であり、関心を持ったことに対する探究熱は自分と同じようなものを持っている。だが、未知な探究領域に関しては、勉強の仕方が少々おかしいように思うことがある。
その証拠に、その新聞の一面記事を熟読したからだろうか、いろいろな箇所にマーカーが引かれているのだが、それらは「その箇所、本当に大事ですか?」と聞きたくなるようなものばかりだった。
いつになく真剣な表情を見せる母に対し、試しに株式投資をする際の基本的な用語について尋ねてみた。予想通り、そうした基礎知識が欠けているようだった。
さらに、その大手の製鉄メーカーの経営戦略や経営指標に関する質問をしてみたところ、それらについても全く答えられないようだった。
私:「今の状態じゃあ、投資は厳しいね。単純に勉強不足だと思う」
母:「そう・・・」
母は寂しそうな表情を浮かべた。それを見て私はさらに言葉を付け加えた。
私:「投資に関する基礎用語の習得は投資をしながらでいいと思うけど、最低でもまずは投資先の会社について知らなくちゃね。その会社の今後には期待できそうだから、公募を通じて株を購入するのも悪くないと思うよ」
母:「ちょっと投資をしながら勉強してみるね」
私:「何事も実践が大切だからね。正直なところ、自分であればその会社の株は購入しないと思うけど、最初は勉強だと思って、数百万円か1,000万円ぐらいから投資を始めるといいよ」
私はそのように述べた。私は自分であればその会社の株を購入しないと述べたが、おそらく数年後には今の株価よりも10倍ぐらいには値上がりするだろうと思っていた。だが、数年後に今の価格よりも10倍の値段をつけるものは、他の金融商品を眺めてみれば、数限りないほどあるように見えたため、自分にとっては魅力的な投資対象ではないと思えた。
先ほどまで読んでいた書籍が、いつの間にか投資の基礎に関する薄い冊子に変わっていた。私はそれを母に渡し、「まずはこれから勉強を始めるといいよ」と述べた。フローニンゲン:2018/12/17(月)07:29
【追記】
そういえば、夢の中で母は投資に関する知識をほとんど持っていなかったのだが、なぜだか「新規公開株式」という用語を知っているようだった。会話の最中に、私が言い間違えて、今回の大手製鉄メーカーの件を新規公開と述べてしまった時、「今回は新規公開株式じゃなく、公募株よ」と述べていたことを覚えている。
No.1485: A Joyful Flower
It seems to me that I have a quiet but joyful heart this morning.
Although the outside world looks forlorn, today also will be fulfilled. Groningen, 08:54, Tuesday, 12/18/2018