薄い雲が空を覆い、寂寥とした雰囲気を醸し出している朝。今日はもう少し天気が良いかと思っていたのだが、晴れ間が顔をのぞかせるのはもう少し後のことになるかもしれない。
書斎の窓から見える景色はすっかり冬らしくなった。街路樹はすっかり裸になり、枝に止まっている鳥たちの様子が良く見えるようになった。
赤レンガの家々の近くにある木々は、まだかろうじて紅葉した葉をつけている。それらが今、微風に揺れている。
今、裸の街路樹に止まっているハトの姿を眺めている。頭をキョロキョロさせながら、周りの様子を伺っている様子は愛らしい。
そういえば、昨日ボールドウィンの進化論に関する書籍か何かを読んでいた時に、動物たちも夢を見ているということが記述されていた。もちろん、全ての動物が夢を見ているわけではないだろうが、ある程度の知性のある動物であれば、夢を見ているそうなのだ。
今目の前に見えるハトはどうだろうか?彼らは一体夢を見るのだろうか?見るとすれば、どのような夢を見るのだろうか?そのようなことが気になる。
日中空を飛んで眺められた景色が夢に現れるのだろうか。オートポイエーシスの概念を活用して、ハトの内側の視点を取り、ハトが見ているであろう夢についてあれこれ想像するのは面白い。
もし仮に、ハトと私の意識が集合的な領域で繋がっているのであれば、お互いの夢が双方の夢に影響を与えたり、共通した夢を見ることもあるかもしれない。そのようなことを考えていると、裸の街路樹に止まっていたハトが空に羽ばたいていった。その羽ばたきという一つの行動が、今夜のハトの夢に影響を与えるかもしれない。
ハトが夢を見るのか否かについて書き留めていると、今朝方の夢についてふと思い出した。起床してからすでに二時間半が経過しているため、ほとんど記憶に残っていないのだが、覚えている範囲の事柄を書き留めておく。
最も印象に残っているのは、自分が空を飛べるというのは何か特別な能力であって、その能力を好意的に思っていない人たちがいることを示唆する夢の場面だった。その夢の場面では、自分が空を飛べることを否定する人たちがいた。
彼らの主張を端的に述べると、「空を飛べるのはずるい」というものだった。それはあえて向き合うほどでもない非常に稚拙な主張だと思ったが、ある中年女性が頑なにそうした主張を私にしてくるため、その主張に対していくつか反論理由を述べた。
私:「人が走れることはずるいことですか?」
中年女性:「いえ」
私:「人が歩けることはずるいことですか?」
中年女性:「いえ」
私:「空を飛べることは、走行や歩行と同じ単なる身体運動に過ぎず、走ることや歩くことがずるくないのであれば、空を飛べることもずるくないのではないでしょうか?」
中年女性:「・・・」
私:「なるほど、おそらく空を飛ぶという行為がもたらす何かしらの結果が社会的に不公平なものになることを心配されておられるのですね」
中年女性:「えっ、えぇ・・・」
私:「例えば、空を飛ぶことによって、歩いている人よりもある目的地から別の目的地に早く着けることが不幸な一例だと言えるでしょうか?」
中年女性:「えぇ・・・」
私:「その場合、そもそも歩いている人は歩かなければいいんです。電車や飛行機を使えば、空を飛ぶよりも早く目的に着けますよ。それでは、電車や飛行機に乗ることは不公平でしょうか?」
中年女性:「いや・・・」
私:「そうであれば、どのような理由から空を飛ぶことが不公平なのか再度教えてもらえますか?」
中年女性:「えぇ・・・」
私:「それに、空を飛ぶ際に生じる諸々のリスクや恐怖心などを考えると、空を飛べることは良いことばかりではありませんよ。むしろ、空を飛べることは不幸であって、空を飛べないことの方が恵まれていると言えるかもしれません。その点についてはどう思われますか?」
中年女性:「えっ、えぇ・・・」
ほとんどやり取りになっていないが、私はその中年女性に対して上記のような事柄を述べていた。起床して改めてこの夢の主題や付随する事柄などを考えていると、人はどうも自分にない能力を持つ人に対して多かれ少なかれ嫉妬の感情を抱くようである。
空を飛べるというのは、確かに稀な能力なのかもしれないが、それが稀だと思われている現代社会の発想の枠組みや、そもそも私たちには各人固有の能力が存在するということに対して無知な風潮が、この社会に存在していることを示唆するような夢だったように思う。フローニンゲン:2018/11/19(月)09:24
No.1427: A Flock of Birds in the Cold Sky
Although it is still 4PM, it becomes dark.
There are a flock of birds flying in the cold sky. Groningen, 16:14, Tuesday, 11/20/2018