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3210.【ボストン旅行記】ワイドナー図書館を訪れて


つい先ほど夕食を摂り終えた。時刻は午後の七時半を迎え、ボストン滞在の六日目が終わりに近づいている。

今日は午前中に、昨日立ち寄った古書店に行き、間違って購入した書籍を返品しに行った。その書籍は、クリシュナムルティの教育思想に関するものであり、それを古書店で見つけた時は嬉しくなったが、すでにそれはフローニゲンの自宅の本棚にあるものと同じであることをホテルに戻ってきてから気がついた。

そのペーパーバックの表紙が異なっており、自分がすでに持っているものと同じだとは、古書店にいるときには気づくことができなかった。古書店の開店とほぼ同じタイミングに店に到着し、中に入ると、昨日にレジで対応してくれた女性が今日もいた。

「あぁ、昨日に来てくれた方ね」とその女性は笑顔で述べ、挨拶をした後に、書籍の返品をお願いした。すると快く返品に応じてくれ、10ドルと数セントを受け取った。

そういえば、今回のボストン旅行では結局一ドルも現金を持っていなかったので、四年振りにドルを触ったことになる。ホテルをチェックアウトする時に、清掃員の方にチップを渡そうと思っていたのだが、ユーロ紙幣しかなく、最悪それをおいて両替は受け取った方にお願いしようと思っていた。

古書店の店員にお礼を述べ、古書店を出てから少しばかり考え事をしていた。今回間違って書籍を購入したことは、返金されたドルをチップとして渡すことを導くような意味があったのではないかと思う。不思議な因果関係をそこに見て取った。

古書店を後にした私は、ここ数日間と同じように、今日もまたハーバード大学教育大学院の図書館に行った。まずはカフェでオーガニックコーヒーを購入し、それを持って二階に上がった。

ここ数日間と同じ席に座り、午前中から昼食にかけて、持参した二冊の書籍を読んでいた。昼食は再びカフェに降りてそこで食べた。

昼食後に一時間ほど読書をしてから、ハーバード大学が誇る図書館のワイドナー図書館に行き、数日前にディナーをご一緒させていただいた知人の方に図書館を案内してもらった。HGSEの図書館は学生でなくても入ることができるが、ワイドナー図書館は関係者がいなければ部外者は入ることができない。

非常に厳かな図書館を見学し、図書館の共有スペースのソファに腰掛けて、知人の方としばらく話をしていた。その後にせっかくなので、ワイドナー図書館の中に残って持参した書籍を読み進めることにした。

こうした厳かな雰囲気の中で読書をしていると、大いに学習がはかどるものである。どのような環境で学習をするかの大切さは、欧州でのこれまでの二年間を通じて常に感じていることであり、ハーバードの誇るワイドナー図書館は学習をするにはうってつけの環境を提供してくれているように思う。

今日はワイドナー図書館で勉強するという貴重な経験をすることができて嬉しく思う。明日もまたHGSEに行く用事があり、午後から芸術教育プログラムのディレクターであるスティーブ・サイデル教授との面談がある。

明日も午前中からHGSEに行き、今日と同じように持参した書籍を読み進めたい。今回のボストン旅行は、これまで欧州で行ってきた旅行とは随分と毛色が異なり、観光はほとんどせず、何か勉強をしにここに来たかのようだ。ボストン:2018/10/2(火)19:50

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