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3207.【ボストン旅行記】ハーバード大学教育大学院にて思うこと


昼食時を迎えるまで、ハーバード大学教育大学院(HGSE)の図書館にいようと思う。今、図書館の窓を通じて外をぼんやりと眺めている。

今回のボストン滞在の間に何度もHGSEを訪れ、図書館のカフェで食事をしたり、学習をしたりしていると、もうどこかこの大学の学生になったかのような感覚がするから不思議である。

世界各国に旅行に出かける際にも、大抵数日後からはその町が自分にとって非常に親しみのあるものに変わる。そうしたことが、今回HGSEに対しても起こっていることは興味深い。

まだ出願をしたわけでもなく、入学を許可されたわけでもないのだが、HGSEで学んでいる者として今の自分を知覚している点は不思議に思う。

改めて今日エルギン教授から、デューイの思想を深く探究することを勧めていただけて有り難かった。フローニンゲンの自宅の本棚には、デューイの二巻にわたる全集があり、昨年か一昨年に一度全体に目を通していただけなので、今週末にフローニンゲンに戻ってから、デューイの思想を本格的に探究し始める。

芸術と芸術教育が持つ、社会的な意義。すなわち、芸術や芸術教育が個人の発達を促進していくのみならず、社会の発達を育む価値を有するのではないかという観点をもとに探究をしていく。

そのためにはこれまでのように、個人の発達プロセスやメカニズムに焦点を当てるだけでは不十分であり、社会の発達プロセスやメカニズムについても精通していく必要があるだろう。これらの点については、HGSEで教鞭をとっているホウマン・ハロウニィ博士の批判理論に関するコースが参考になるだろう。

今年はまた自分の探究のテーマが大きく変化したが、新たなテーマを探究していく道が徐々に明確なものになってきていることは喜ばしい。エルギン教授やハロウニィ教授を含め、様々な学者とのやり取りの中で、徐々に自分のテーマの探究が進んでいくであろうことを予感する。

もうしばらくしたら、HGSEの図書館を出発し、大学近くのレストランで昼食を摂ろうと思う。昼食を摂り終えたら、ケンブリッジエリアにある二つの古書店を訪れ、今の自分に必要な古書がないかを探す。

昼食後から数時間ほどゆっくり時間をかけて古書を吟味したい。私は何をやるにも進歩が遅く、学術探究に関してはなお一層のこと進歩が遅いことを実感している。

自分のテーマを育んでいくことに加え、そのテーマを取り扱う自分自身をより高めていく必要がある。それは知識の面でもそうであり、知識を活用する知性の面でもそうであり、探究をする自己そのものに関してもそうである。

それらを焦らずにゆっくりと深め続けられるかどうか。それに全てがかかっているように思える。ボストン:2018/10/1(月)11:41

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