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2642. 【アムステルダム滞在記】音色の探究に向けて


先ほど昼食を摂り終えて、今はまた日記を書き留めておきたいという気持ちになった。結局今日は自分の学会発表の直前までホテルでゆっくりすることにした。

昼食前に、発表内容に関する予行練習を何度か行った。発表時間は15分強であり、時間としては非常に短いのだが、準備は入念に行った。

もう内容に関しては自然と口から出てくるような状態になっているため問題ないだろう。ホテルを出発する直前にもう一度最後の発表練習を行っておきたい。

午前中は随分とゴッホの画集を眺めていた。購入した五冊のうち、昨日に一冊読み終わり、今日の午前中に三冊を読み終えた。明日には最後の一冊を読み進めたいと思う。

今回アムステルダムを訪問して最も幸運なことは学会に参加できたことではなく、ゴッホがもう一度自分の内側に深く強く入り込んできたことだった。ゴッホの存在は私にとってかけがえのないものであり、創造活動上においてゴッホから様々なことを私は今後も学び続けるだろう。

ゴッホのある画集の中に、ゴッホから影響を受けた画家の作品が収録されていた。中でも私は、オディロン・ルドンというフランスの画家に大変関心を持った。

彼の幻想的な作風に強く惹かれるものがあった。作品というのは本当に面白いもので、作り手がどのような種類と質の思想を持っているのかを一瞬にして物語る。

ルドンの持っている思想に私は一瞬にして虜になった。今後は少しずつルドンの作品を意識的に鑑賞したいと思う。いつか日本に一時帰国した際には、ルドンの作品が多数所蔵されているという岐阜県美術館に是非とも足を運びたい。

昨日の日記で書き留めたように、今後は学術機関に所属することに対して慎重になろうと思う。できるだけそうした機関に所属しないのが賢明かもしれない。今の私にはどうも、そうした機関に所属することが、自分が生み出そうと思うものを生み出すことの邪魔になるように思える。

明日はまだ学会期間中だが、明日の朝から早朝に作曲を行うことを習慣にしたい。これは以前にも何度も書き留めた考えではあるが、どうしてもこれまでの生活状況では午後に作曲をすることしかできなかった。

とにかく読書をするよりもまずは曲を作る。曲を作ることを最優先にした生活を実現させていく。

今日から六月に入り、修士論文の提出が間近に迫ってきた。学会から戻った翌日の日曜日と月曜日の二日間に集中して最後の詰めの執筆を行う。それをもって論文アドバイザーのミヒャエル・ツショル教授に最後のレビューをお願いする。それ以降の修正は本当に最低限のものにする。

ゴッホが花の絵を無数に描くことによって色彩の研究をしていったように、自分も音色の研究をしていこうと思う。とりわけ、ハーモニーに対する理解を深めていくことが大切だ。

後期のゴッホのように、色彩豊かな曲を作るにはどうしたいいのかと考える自分がいる。ゴッホは、例えば青とオレンジ、赤と緑、黄と紫が生み出す色彩効果を熱心に研究したことが画集の解説文からわかった。

そこから私は、やはりそれぞれの色を音として表現するにはどうしたらいいのか、という問いを立てて探究を進めていくことが大切に思われた。まずは参考として、それらの色を音色として見事に表現している印象主義の作曲家の作品に範を求めたい。

それに加えて、先日に読み終えたシュタイナーの音楽理論に関する書籍と色彩に関する書籍をもう一度読み返す。いや何度も繰り返して読み込みたいと思う。

そうした探究と並行して、今後少しずつ身の回りのありとあらゆる対象から喚起される内的感覚を曲にしていく実践を意識的に行う。それは言い換えれば、「音楽のデッサン」の修練を積んでいくことを意味する。

今日はこれから仮眠を取り、一曲ほどバルトークの曲を参考にして曲を作り、学会の発表内容を再度確認してからホテルを出発する。アムステルダム:2018/6/1(金)14:25 

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)

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