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2604. フローニンゲンという街の素晴らしさ


フローニンゲンの街の良さを再確認するような日であった。今、燦然と輝く太陽の光がフローニンゲンの街に降り注いでいる。

時刻は夕方の四時半を迎えた。今日は三時前あたりに街の中心部にある役所に向かった。

欧州での三年目の滞在にあたり、その手続きの方法を聞きに街の役所に向かって自宅を出発してみると、今日は随分と暖かいことにすぐに気づいた。気温はかなり高くなり、半袖で外出するにはもってこいの天気であった。

役所に訪れるのは今回が初めてであるが、その近くには行きつけのインドネシア料理店があり、役所の周辺の地理は理解していた。あえて今日は普段通らないような道を歩いてみると、随分と色んな発見があった。

これまで見逃していた小さな教会や骨董屋など、この街にはまだ私の知らなかった場所がたくさんあることに気づかされた。役所に到着すると、そこはとても綺麗な建物であり、すぐに担当の人と話すことができた。

対応は迅速であり、説明も実に親切であった。今年の九月に修士課程を終えることになり、その後三年以内であればいつでも一年間ほどオランダで滞在できる許可を得ることができる。

この制度の本来の目的は、オランダで仕事を見つけることやインターンとして働くことを斡旋するものだが、私はどこかの組織に属して働くつもりはなく、欧州の地で探究活動を継続させるためだけにこの制度を利用する。

昨年すでにフローニンゲン大学での一つ目の修士課程を終えており、今回の二つ目の修士課程の修了をもって二回この制度に申請できるのかは定かではない。仮にその適用可能性があり、今後数年以内に再びオランダに戻ってこられる可能性を保持するためにも、昨年修了したプログラムの証明書を活用して今回の制度を利用しようと思う。

今週の土曜日にオランダ政府のウェブサイトに行き、必要書類をダウンロードしておきたい。申請から許可証を得るまでに長くて三ヶ月ほどかかるそうなので、七月の半ばあたりに申請書を提出したいと思う。

提出が済めば、申請をしたことを証明する書類をもらえるそうであり、それさえあれば仮に現在の滞在許可証の滞在期間が過ぎても問題なくオランダで生活ができると聞いた。

担当してくれた方にお礼を述べ、私は役所を後にした。今日が平日とは思えないほどに街の中心部には観光客らしい人がたくさんいた。

これはいつものことかもしれないが、今日はいつも以上に平日が休日に思える。それぐらいに陽気な雰囲気が街全体を包んでいる。

中央市場の石畳の道を歩いている最中、マルティニ教会の荘厳な鐘の音が聞こえてきた。私は思わずその場で立ち止まり、鐘の音に聞き入っていた。

フローニンゲンは落ち着いた良い街だと改めて思う。でなければ三年もこの街にいることはないだろう。

この十年を振り返ってみた時に、同じ街で三年以上過ごすのはフローニンゲンが初めてだということに気づいた。個人的にこれはとても驚くべきことだった。

それほどまでに私はこの街に愛着を感じているのだろう。また、フローニンゲンという街が私を捕まえているとも言えるかもしれない。いずれにせよ、さらにもう一年落ち着いたこの街で生活できることを嬉しく思う。

役所を訪れたその足で、私は行きつけのチーズ屋に立ち寄った。いつもと同じチーズとナッツ類を購入した。

すると店主の女性が何やら奥から小さな物を取り出し、私に手渡した。見ると、それはハート型のチーズだった。

店主:「私の妹がこの間結婚したのよ。その記念に作ったチーズをあげるわ」

店主は微笑みながらそのように述べた。私はお礼を述べながらそのチーズを受け取った。

様々な場所に様々な幸福が絶えず訪れる。ここにも小さな幸福があった。

この街でもう一年生活できることがこれほど幸せなことだとは思わなかった。暖かい太陽の光が射す中を、私は幸福を噛みしめながら歩いていた。フローニンゲン:2018/5/23(水)17:08

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