清々しい風が辺りを吹き抜けていく。今日は早朝から晴れに恵まれ、今も天気が良い。
早朝は雲一つなかったが、今は少しばかり入道雲が見える。だが、それでも太陽の光は燦然と降り注いでいる。今頃になってようやく気付いたが、フローニンゲンのこの時期の気候はサンフランシスコの涼しい気候を思い出させる。
昼食後に一件ほど協働プロジェクトに関するミーティングを行い、ミーティングの終了後、私はランニングがてら街の中心部の文房具屋に向かった。その道中、ランニングに出かける際は長袖を着る必要はなく、半袖で十分なことに気づいた。
また、そうした涼しさを実感していると、フローニンゲンの街の気候がどこかサンフランシスコを想起させた。もちろん、冬の季節は比較にならないぐらいフローニンゲンの方が寒い。米国の西海岸にあるサンフランシスコの冬とここの冬を比べることはできない。
ただし、春から夏にかけての気候であれば、両者はとても似通っているように思う。ランニングの最中に頬を伝う風は、二つの街の共通点を私に気づかせてくれた。
文房具屋に到着すると、すぐさま色鉛筆の置かれているコーナーに向かった。幾つかの種類があったが、24色のそれなりの物を購入した。
事前の調査によると、色鉛筆には大きく分けると水性のものと油性のものがあるそうだ。水性のものは芯が固めであり、細かい描写に向いている。また、水に溶けるという特徴を活かして、水に濡れた絵筆などでぼかしやグラデーションを表現することも可能だ。
一方、油性のものは芯が柔らかめであり、発色が良い傾向にある。私は細かい描写をしたいと思っていたので、今回は水性のものを購入することにした。
色鉛筆を購入したのは一体何年振りだろうか。それを購入した時、どこか幼少時代の気持ちを思い出した。
芸術というのは、私たちの存在を深めていくことのみならず、童心を思い出させてくれることにもつながるのかもしれない。芸術の奥深さと魅力は尽きることがない。
文房具屋を後にした時の私の気持ちは高揚していた。自宅に帰る足取りも軽やかであり、購入した色鉛筆を用いてこれからデッサンできることが楽しみでしょうがなかった。
今日はこれから作曲実践を行い、一曲ほど曲を作る。その曲を聴きながら喚起された内的感覚を早速作曲ノートにデッサンしておこうと思う。
作曲とデッサンが終われば、午前中に引き続き研究論文の執筆を進めていく。来週の月曜日に行われる論文アドバイザーのミヒャエル・ツショル教授とのミーティングに備え、当日意見交換するための文章を執筆していく。
具体的には、対象としているMOOCのある週の講義を一つ例に取り、その週の講義の特徴を三つの定量化基準をもとに定性的に議論していく。さらに踏み込んで言えば、各講義の中で変動性の調和が取れているピンクノイズを発している時系列データを取り上げ、その定性的な特徴について議論をしていく。
つまり、フラクタル次元としてピンクノイズを持つ講義にはどのような特徴があるのかを具体的な形として文章にしておきたい。それをもとに来週の月曜日のミーティングを行う。
上記の点については今日中に執筆できるであろうから、明日に“Discussion”の文章を書き始めていき、それと合わせてツショル教授に論文のドラフトを送りたい。
相変わらず春の穏やかな風が吹いている。その風に揺られる木々の葉を眺めてみると、どこか心が落ち着いていく。フローニンゲン:2018/5/2(水)15:37