今日は昼食を大学のカフェで摂り、その後フローニンゲンの街の中心部で髪を切った。行きつけの理髪店に行き、今日から新しい美容師に髪を切ってもらうことにした。
彼の名前はメルヴィンという。いつもは常に満席のこの理髪店も今日はあまり人がいなかった。昼の二時という時間がそうさせていたのかもしれない。
理髪店に到着すると客は私しかおらず、メルヴィンと挨拶を交わし、早速彼は飲み物の注文を取ってくれた。私はこの理髪店のエスプレッソを好んでおり、いつも通りそれをお願いした。
エスプレッソを受け取り、メルヴィンは満面の笑みを浮かべながら、会話を切り出した。
メルヴィン:「実は来年の三月に日本に行くことになってるんだよ。ヨウヘイが日本人だということを知っていたから前々から話したくてね」
そこからメルヴィンと私は日本に関する諸々の話をした。メルヴィンが来年の三月に四週間の休みを取って、東京、大阪、京都に行くということだったので、それらの都市の見所などを自分の知っている範囲で紹介した。
話の随所から、メルヴィンが日本へ多大な敬意と関心を持っていることがわかり、こちらも嬉しくなった。そうした純粋な喜びの感情を見てみると、やはり自分の根幹には絶えず日本人としての魂が宿っているのだと思う。
そこからも引き続き日本に関する話をしたが、私がメルヴィンに対して感銘を受けたのは、彼が哲学的な深い洞察を持ちながらこの世界を生きていることだった。
メルヴィンが切り出したテーマとして印象に残っているのは、「情報・知識・叡智の差異について」「内的世界をないがしろにし、外的世界にだけ意識が向かう現代人」など、私が普段から問題意識を持っていることと同じことをメルヴィンも考えているようだった。
それらのテーマについて話が多いに盛り上がり、今日初めて話をした間柄だとは思えなかった。メルヴィンの父はオランダ人であり、母はインドネシア人ということもあり、日本以外のアジア諸国には何度か訪れたことがあるそうだ。
メルヴィンの言葉一つ一つに彼の存在が体現されている感じがしており、その辺りについても話題として取り上げてみると、身体と心のつながりについて関心を長らく持っているとのことであった。今はもう踊っていないそうなのだが、彼はヒッポホップダンスを長くやっていたそうだ。
そうしたことも心身のつながりに対して関心を向かわせたことに関係しているだろうし、一人の表現者として踊り続けていたことが、彼の言葉に自己の存在を体現させることにもつながっているのかもしれないと思わされた。
メルヴィンとの対話から、私は随分と考えさせられることがあり、今日は髪を切りに行くだけのつもりだったのだが、本当に素晴らしい対話をすることができたことに感謝している。次回もまたメルヴィンに髪を切ってもらおうと思う。
私はもしかしたら、この秋から再び米国に戻る可能性があり、メルヴィンが日本を訪れるのは来年の三月であるため、そこでの体験がどのようなものであったかを聞くことができないかもしれないことは残念だ。だが、秋までの期間にあと何回か対話をする機会があるので、その時間を大切にしたいと思う。
メルヴィンとの素晴らしい出会いに感謝しながら、明日に向かって今日の残りの時間を大切に過ごしていこうと思う。フローニンゲン:2018/3/28(水)17:52
No.921: Serene Zest
Groningen has been gradually like spring.
This season lets us feel the serene zest of all forms of life. Groningen, 08:05, Friday, 4/6/2018