書斎の中にバッハのアヴェマリアが鳴り響く。それに共鳴するかのように、夕方から突然激しい雨が降り始めた。
今も激しい雨が降っている真っ只中である。フローニンゲンを覆う雨雲から垂直に地上に降り注ぐ雨は、とても美しい。まるでそれは世界を洗い流すかのような光景である。
ひと月前までは雨が降ってばかりであったが、ここ最近は一日の活動中に雨が降ることはほとんどなかった。そのため、こうした激しい雨を見るのは久しぶりのように思う。
遠くの空を眺めてみると、雨雲の切れ目があり、そこから夕日が地上に差し込んでいるのが見える。自分がいる書斎の眼の前では激しい雨が降り、遠くの場所には夕日が差し込むというのは風情があっていい。
今私はとても幸福な気持ちに包まれている。聞こえてくるアヴェマリアも、視界に入る雨の景色も、それらが全てこの幸福感を生み出すことに力を貸しているようだ。
今日を振り返ってみると、今日も非常に研究がはかどった。今日はインターン先のオフィスに行くことなく、自宅でデータ分析を進めていた。
昼食後に全てのデータ分析を終え、三つの定量化基準で得られた結果を比較してみると、随分と興味深い発見事項が得られたように思う。ここからは、MOOCの講義のトランスクリプトのみならず、1000人を超す受講者のオンライン上のコメントを定量化し、そのデータに対して同様の分析手法を適用していく。
いかんせん受講者の数が多いため、コメントの数も多く、データの収集には時間を要するだろうが、このデータに対する分析結果も非常に楽しみだ。
昼食後にデータ分析をひと段落した後、夕方からは今週の金曜日に行うミーティングに向けて準備をしていた。具体的には、先々週にインターンのアドバイザー二人に送った分析レポートに手直しを加えていた。
特に、エスター・ボウマ博士からのフィードバックが非常に参考になり、彼女の質問に答える形で分析レポートをより洗練させていった。「標準化分散解析(standardized dispersion analysis: SDA)」についてはレポートの中でほとんど説明をしておらず、この分析手法についても簡単に説明を加えておいた。
また、この分析手法については、インターンとは別の研究でも活用する予定であり、研究アドバイザーのミヒャエル・ツショル教授もこの手法についてより詳しく知りたいと以前のミーティングの際に述べていた。
そのため、夕方から二、三本の論文を読み、SDAについてレクチャーができるようにしておいた。例えば、10個のデータポイントをその場で適当に作り、そのデータポイントに対してどのようなプロセスで分析が行われるのかを説明できるようにしておいた。
端的には、SDAの背後にある数式を理解し、その数式を具体例を用いながら説明できるようにしておいた。これは昨年に「複雑性とダイナミックシステム」のコースでラルフ・コックス教授から習った手法であり、当時の講義資料を見ながら再度自分で具体例を考えることによって、手短にその分析プロセスを説明できるようにしておいたことは今度どこかで役に立つであろう。
非線形ダイナミクスの手法というのは、必ず見慣れない数式が絡み、そのほとんどの手法はプログラミング言語のRを用いれば、何も苦労することなく解析結果を出すことができる。しかし、いざその一つ一つの手法に関する分析手順と分析メカニズムを説明せよと言われるとなかなかできるものではない。
SDA以外にも、今後の研究で用いる手法については、今回のように簡単な具体例を自分で作りながら説明できるようにしておきたいと思う。今日も研究の合間に、科学的な研究は今日はこれぐらいにして哲学探究を行いたいと思う自分がいたが、こうした非線形ダイナミクスの手法を活用した発達研究・教育研究に関するコースであればどこかの大学で講義を受け持ちたいと思う自分もいた。
そうした講義を自分が受け持つのは随分と先のことかもしれないし、意外と早くにやって来るかもしれない。とにかく、今日のように一つ一つの手法の意味を丁寧に理解していくことと、何よりそうした手法を実際に活用した研究を積み重ねていくことをこれからも続けていきたい。フローニンゲン:2018/3/12(月)18:07
No.864: Doll’s Day
I tried to recall a Japanese holiday in early March, but I didn’t specify it.
Suddenly, I remembered that it was a doll’s day on March 3rd.
I can hear the famous song for the festival in my mind. Groningen, 14:13, Saturday, 3/17/2018