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2081. ヴィンセントとハンス


今日の自らの有り様に少々反省をしなければならない。Rのプログラミングコードが思ったほど書けなかったことが一体なんだというのだろうか。

オフィスを去り、河川敷のサイクリングロードを歩いている最中のあの悔しがりようは一体なんだろうか。自分はどこか純朴過ぎるのではないだろうか。

Rのプログラミングコードが思ったほど書けなかったことに対して、なぜ私はあそこまで悔しさを感じていたのだろうか。サイクリングロードを歩きながら、自分がまだ「悔しさ」という感情を持ちうるということに少々驚いた。

悔しさの感情が芽生えた背景には、小さな自我への固執が必ずあるだろう。自我のどういった側面に自分は囚われていたのだろうか。

それがわからないということ、まだそうしたことを探さなければならない場所に自分がいることに少々落胆する。仮に自我への固執地点の探究そのものが自我がこしらえた罠だとしても、私はあえてその罠の中に飛び込む形で自我の策略を暴きたいと思う。

今朝、自分が独我論を超えて、真に誰かと共に生きていくことは可能だろうか?ということを考えていた。この主題は、欧州での生活が一日一日と過ぎ行く中で、より存在感を増す。

自分の認識世界には他者が必ず存在しているはずであり、私の日々は他者なくしては成り立たない。しかし、どこかそうした他者と共に歩んでいるという実感が湧かない時があるのも確かなのだ。

そういう時は大抵、自分の存在すらも明滅している。早朝に考えていたのは、真に他者と共に生きることの困難性のみならず、それと同時に、真に孤独のうちに生きることの困難性であった。

自らの存在は他者と完全に共有される形で存在しているのか、それとも完全に孤独のうちに存在しているのか考えたことはないだろうか。

今日はインターン先のオフィスで初めてもう一人のインターンであるヴィンセントと話をした。ヴィンセント宛に今日も電話が二件ほどかかってきて、「彼は水曜日しかここにいません」と相手に伝えたところ、「今日も働いているはずなのですが・・・」という返答があった。

「いや、そんなはずはないのですが・・・」と答えると、相手はヴィンセントにメールを送ってみると述べた。二件目の電話があった数分後、ヴィンセントから電話があった。

彼はどうやら別のキャンパスで今日は勤務していたらしい。やたらとこちらのオフィスにヴィンセント宛の電話がかかってくるものだから、私も何かおかしいと思っていた。

どうやらヴィンセントは、オフィス内の電話からログアウトすることを忘れていたらしく、代わりにログアウトしておいてくれないかと私に依頼をしてきた。私はその時、そもそも電話にログインすることができることを初めて知った。

オランダの巨匠ヴィンセント・ヴァン・ゴッホと同じファーストネームを持つヴィンセントと未だに顔を合わせたことはないが、今日初めて声を聞くことができた。ヴィンセントに会う日も近いかも知れない。

ヴィンセントと少しばかり電話越しに話をし、受話器を置くと、隣の部屋のハンスが私の部屋の扉をノックした。

ハンス:「ヨウヘイ、やったぞ、金メダルだ!」

:「えっ、誰がですか?」

ハンス:「スケートチームだよ」

:「オランダの?」

ハンス:「そりゃあそうさ」

:「おめでとうございます」

ハンス:「なんだ、ヨウヘイはオリンピックをあまり追いかけてないのか?」

:「ええ、それほど。ですがニュースで少し確認してますよ」

ハンス:「そうかぁ。いや〜、それにしてもオランダチームは見事だったよ。ところでヨウヘイはどこから来たんだっけ?」

:「日本です」

隣の部屋の教授であるハンスはとても人柄がいい。今朝も一階のコーヒーマシーンの前でばったり出くわし、そこで少し立ち話をした。

ハンス:「コーヒーで一日をスタートだな」

:「ええ。ここのコーヒーの質はいいですね」

そんなやり取りをしていた。先ほどのオリンピックのやり取りの前は、ちょうどヴィンセントとのやり取りの後であり、苦戦しているRのコードの解決策をこれから見つけようと士気を高めたところだったので、肩透かしを食らったような気がした。

ヴィンセントとのやり取り、ハンスとのやり取りがあってもまだ他者と共に自分が生きていないと言えるだろうか。やはり私は他者と共に生きているような気がしないでもない。フローニンゲン:2018/2/23(金)21:20  

No.800: Both Masculinity and Femininity

All of us have both masculinity and femininity.

I think it is crucial not to provide questions and answers from either side, but to do so from both sides. Groningen, 08:11, Sunday, 2/25/2018

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