早朝、複雑性科学に関する哲学書を読み進めていると、大変興味深い記述に遭遇した。それは、物質において、その階層ごとに固有の時間スケールが存在しているというものだった。
これは物質のみならず、私たちの精神にも当てはまるのではないかと思った。精神的な発達を考えてみた場合、どうも成熟を遂げた精神の時間感覚は、未成熟の精神のそれと異なるようなのだ。
つまり、発達の階層ごとにその時間感覚は変わりうるものなのではないか、という仮説を立てるに至った。発達を遂げるに応じて私たちの認識世界が変容していくことを考えると、この仮説はそれほど驚くに値しないかもしれない。
ただし、私が注目していたのは、物質における時間スケールが、構成要素の数や種類、そしてそれらの相互作用の性質によって決定付けられるということだった。
の発達において、時間感覚が異なるであろうということは前々から考えていたことではあったが、その要因として、精神を構成する要素の数や種類、そしてそれらの相互作用を考慮する観点は、これまで強く意識したことはなかった。
発達段階ごとに異なる時間感覚を考察していく上で、それらの観点を持っておくことは重要になるだろう。 もう一つこの哲学書を読みながら改めて考えていたのは、音楽の自己組織化現象である。とりわけ、作曲をしている最中に、音が音を自発的に生み出す不思議な現象に遭遇することがたびたびあり、その現象を大変興味深いと思っていた。
メロディーの一節が生まれたら、そのメロディーが自発的に次のメロディーに展開していくのである。メロディーがメロディーを自発的に創出していくというこの運動は、実に神秘的である。
しかし、それを神秘的だと一言で片付けるのではなく、その背後には、メロディーが持つ自己組織化という特性があったのだ。もちろん、これはメロディーに限らず、リズムやハーモニー、そして転調においても見られる現象だろう。
すなわち、音楽には自己組織化運動をする内在的な力が存在しているのだ。そのように考えてみると、もはや音楽とは生命に他ならないように思えてくる。
一つの音が全く別の音を生み出す現象を日々体験していると、音楽と複雑性科学に関する探究をより一層深く行いたいという思いが沸々と湧いてくる。 もう一つ、複雑性科学における重要な概念である「相転移」と音楽との関係について考えていた。相転移とは、不安定な状態にあるシステムが、臨界点に達し、突然に質的変化を遂げることを指す。
作曲をしていても、これと同様の現象に出くわすことがある。おそらく作曲家は、曲のストーリーを考慮して転調を行うのだと思うが、その背後にはストーリー性のみならず、その曲が進行していくに応じて、ある臨界点に達した時に転調を行うこともあるのではないかと思った。
曲中における臨界点の定義は様々に考えられるが、「この辺りで転調をした方がいい」というような感覚的な把握として、作曲家は臨界点を掴まえていく。臨界点を超え、転調を行うと、曲の雰囲気が変化するのは、そこに相転移という突発的な質的変化があるからだろう。
色々と調べてみると、物質においては、それぞれ決まった臨界点があるらしい。ここから発想を広げると、曲の性質に応じて決まった臨界点があるのではないかという仮説が立つ。
仮に曲の性質に着目することが難しければ、まずは過去の偉大な作曲家が残した楽曲を対象にして、作曲家ごとの臨界点の範囲を特定する研究を行うのは面白そうだ。 つまるところ相転移とは、不安定な状態から安定的な状態へと向かう力と不安定な状態に留まろうとする力のせめぎ合いの中で起こる。要するに、相転移とは秩序を求める力と無秩序を求める力との拮抗によって引き起こされるものなのだ。
そのようなことを考えていると、作曲とは、秩序を希求する衝動と無秩序を希求する衝動との調和のもとになされる行為なのかもしれないという思いが湧き上がる。山口県光市:2018/1/2(火)08:47
No.599: Possible Effect of Population Density on Mind and Body
The weather in Tokyo is not so good today.
From the window of a train, I can see how dense the population in this country is.
I think the population density has an immense impact on Japanese mind and body. It shapes the contour of Japanese mentality and their somatic senses. I completed the draft of a PPT document for my poster presentation the week after the next.
Since I planned to finish it on an airplane tomorrow, I will have enough time to focus on composing music and reading books tonight and tomorrow.
The fact makes my heart vibrate with joy. Narita, 16:18, Friday, 1/5/2018