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1493.受け継ぎ、受け継がれるライフワーク


午前中の仕事が半ばに差し掛かった頃、書斎の窓の外から小鳥の鳴き声が聞こえ始めた。それは「ピヨピヨ」や「ちよちよ」という音として一旦認識されたが、そうした擬音語では表現できない何かを持っていた。

それが音の魅力である。今日は八月の最終日であり、明日からいよいよ九月が始まる。それはフローニンゲン大学での二年目の探究生活が本格的に始まる日でもある。

日々、学術研究と作曲実践に励むことができ、その他に何も望むことがない。望むべきことは、表現に必要な土台の知識と技術を獲得し、実際の論文を絶えず書き続け、実際に曲を絶えず作り出す日がやってくることである。

今はそうした日に向けた準備を毎日行う時期にある。 自分の中には常に今の自己を超えた自分がいる。超越的な自己へ向かう道は、自己へ帰る道であるということを改めて思う。

すでに自分の内側にいる現在の自己を超えた自己へ向かう道中は、絶えず現在の自己との乖離を突き付けられ、とても苦しいことがあるかもしれない。自己へ帰る道を歩く最中、それは超越的な自己へ向かうのと同様に、自分が一体どこに向かっているのか分からなくなることがあるかもしれない。

私たちが発達を遂げていく際に通るこの二つの道は、私たちを大いに悩ませる。だが、どちらの道にせよ、それらは共に自己が通るべくして存在している道に他ならない。

二つの道の分類は普遍的だが、二つの道の特性は各人様々だ。そのようなことを静かに考えていた。 今日は思考がとても散逸的であり、次から次へと脈絡のない別の考えに思考が移っていく。突発的な雨が止み、夕方に考えていたのは、一人の人間がなす仕事についてであった。

このテーマは以前から自分の中で最も重要なものの一つとして存在し続けている。一人の人間の仕事は、必ずいつかどこかの誰かに受け継がれるのだという気づきは、私をとても勇気付け、安堵感をもたらした。

一人の人間のライフワークは、その人の中で完結しえないという特徴を不可避に持つ。自分のライフワークは、他の誰かのライフワークとして受け継がれていくのだ。

自分の仕事が必ず他の誰かに受け継がれていくことに、私は計り知れない尊さを感じる。いつの時代のどこの誰に自らの仕事が受け継がれるのかはわからない。今それがわかるはずもない。

だが、自らの仕事を受け継ぐ誰かがきっといるという確信に似た信念が、自分の内側から湧いてくる。なぜそのような感覚になるのだろうか。

それは、自分が過去の多くの人間たちの仕事を受け継いでいるという確かな感覚があるからだ。一人の人間の仕事が必ず他の誰かに受け継がれるというこの事実は、一人で生きているわけではないという強い実感を私にもたらす。

そう、やはり私は一人で生きているのではなかったのだ。2017/8/31(木)

No.139:Piaget’s Continuous Writing Jean Piaget was a man who continuously wrote throughout his life.

Writing for him was an indispensable form to expand and elaborate his thoughts.

Writing is action itself to reflect upon and sophisticate our thoughts.

Our knowledge is the constructive product that refines itself in a continuous way.

Writing enables us to organize our recurrent thoughts so as to make them more elaborated. This is the developmental process of knowledge. Monday, 9/1/2017

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