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1477. 私たちを待つ問い


第二弾の書籍『成人発達理論による能力の成長』の出版記念ゼミナールの第四回目のクラスが先ほど終了した。全六回のクラスのうち、早いもので第四回のクラスが終わった。

これまでの三回は、書籍で紹介した概念をこちらから説明することや、書籍に書かれていない概念などを紹介することが多かった。一方、今回のクラスからは書籍の後半の内容を扱うということもあり、受講生の方にこれまでの経験から得られた知見などを尋ねる機会が多く、より対話型のクラスとなった。

当初から後半のゼミナールでは、受講生との対話を重視しようと思っていたが、改めてそうした形式のクラスの意義を実感することとなった。とりわけ、ゼミナールの受講生はどなたもその道での経験が豊富であるため、何かこちらから一方的に説明をするよりも、受講生の方の体験をもとに議論を深めていくことの方がより有意義だということを改めて思う。

私たち成人が学びを深めていく際に重要になるのは、これまでの自分の体験に紐付けながら学習内容と向き合っていくことだろう。その時に、受講生の体験と切り離された概念を講師から一方的に提供することは、ほぼ無意味であろう。

実践をより豊かにし、それを自身の成長につなげていくためには、概念や理論が確かに必要となる。そのため、講師としての役割は、実践や成長に有益な概念や理論を紹介するということは確かに大切である。

ただしその際に、受講生の方の既存の知識や体験と紐付けるように学習内容を提供していくことが肝になる。ジョン・デューイやアフレッド・ノース・ホワイトヘッドも指摘しているように、学習項目は血の通ったものでなければならず、自身の既存の知識や体験と結びつかない概念は単なる死物である。

講師は、学習者が自らの体験に学習項目を紐付けられるように場を作り、言葉掛けを行っていくことが重要になる。そこから初めて、意味のある内省が学習者の中で生まれ、クラスの中で新たな問いと向き合い、その問いをまたクラスの外の自分の生活の中に持ち帰るのである。

このように、自らの体験に引き寄せながら学習項目と向き合い、問いを絶えず自ら立てながら学習を進めていけるようなサイクルを生み出すことが、成人学習における支援者の重要な役割の一つだろう。 受講生に意見を求める場面が多かったことが功を奏して、今日のクラスの中で、私が一度も考えたことのない問いを質問として投げかけていただいた。こうした問いと出会えることは、他者と共に学ぶ二人称的学習の最大の恩恵である。

その問いに関しては私も明確な答えを持っておらず、クラスの外に持ち帰ることにした。ただし、私が大変興味深く思っているのは、問いが立った瞬間に答えは既に生まれているということだ。

思考的距離や時間的距離がいかに遠かろうが、問いを生み出した瞬間に答えはもう生まれているのだ。つまり、問いと答えは同時生起するのである。

これは、何か非常に大切なことを私たちに教えてくれるように思う。何かを知るためには、何かを深めるためには、何かを解決するためには、問いが必要なのだ。

そして、問いを生み出すことができれば、答えはいつか必ずやってくるのだ。問いが問いを生み、それが暫定的な答えを私たちに与え、再び新たな問いが自然と立ち現れるのである。

このサイクルこそが学習や成長に欠かせないものだと私は思う。問いは常に私たちを待っており、立てられることを渇望しているのだ。

そして、その渇望感を満たすのはこちらから投げかける問い、もしくは自発的に湧き上がる問いだけであり、答えではない。人生の中の無数の問いが、私たちを常に待っている。

一人一人に固有の問いは、私たち一人一人に見つけられることを絶えず待っているのだ。それを見捨てることはできるだろうか。できるのであれば、何を見て人生を歩いているのだろうか。

自分に固有の問いこそ、自分の固有の人生ではないだろうか。2017/8/27(日)

No.123: My Proclivity for Construction My daily work consists of academic research and music composition.

I notice that solving mathematical equations, composing music, and writing an academic paper share a similarity. The similarity is that the process is highly constructive.

The process of meticulous construction gives me happiness and exuberance to engage in academic research and music composition.

My proclivity may not be for those actives themselves but for constructing something to express myself. Thursday, 8/31/2017

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