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1390. 示唆に富む夢


不気味な灰色の雲が空を覆っている。早朝にその空を見た瞬間、一日の行く末がわかるかのようであった。

だが、天気の移り変わりの激しさを考えれば、今日の行く末など誰も正確にわかりはしないだろう。天候の変化が示す小さな機微は、いつも私の内側の世界に微細な変化をもたらす。

その微細な変化のおかげで、毎日がどれだけ色彩に満ちたものになるかは計り知れない。自分の内側の微細な変化を頼りに、今日も少しずつ前に進みたいと思う。 昨夜は印象的な夢を二、三ほど見た。夢の中で私は、箱根から新宿に向かおうとしていた。ちょうど箱根駅で切符を購入しようとしている最中であり、待っている私の年齢は中学生ぐらいであった。

ちょうど私の前で切符を購入しようとしているのは、中学校時代の友人だった。彼女が随分とゆっくりと切符を購入しようとしているものだから、出発時刻が刻一刻と迫ってきた。

最初はなんとも思わず、特に焦ることもなかったが、やたらと切符の購入に時間をかける彼女を見て、何か問題でもあるのだろうかと心配になった。新宿行きの特急列車が到着するまで残り21分となったところで、ようやく彼女は切符を購入したようだった。

自分の番が回ってくると急いで切符を購入し、駅のプラットホームに向かった。プラットホームに到着すると、また別の友人と出会った。

彼と会話を交わしていると、彼の内側に寄生虫が潜んでいることがわかった。その気づきを得た瞬間、彼の口から黒々と輝くゴキブリのような虫が飛び出した。

それは彼の口から地面に落ち、地面を素早く這いつくばってどこかに逃げようとしていた。私はその虫を退治するべく、ガスバーナーのような器具を使って焼殺しようとした。

しかし、激しい炎を浴びせても、その虫は一向に死ぬ気配がない。「なんて強い生命力なんだ」という言葉が驚きと恐怖とともに自然と漏れた。

そのゴキブリのような黒々とした虫は、ガスバーナーの火を浴びて弱るどころか、力を増しているように思えた。事実、より攻撃的になり、私たちに向かって襲いかかってきたのだ。

ガスバーナーの器具で払いのけることが精一杯であり、逆に私たちが逃げる羽目になった。そこで夢の場面が変わった。 その次の場面では、私は自分が通っていた小学校の教室にいた。瀬戸内海を見渡すことのできる、高学年用のある教室だ。おそらくそれは、六年生の時の教室だろう。

教室には他の生徒もいて、今から席替えが始まるようだった。この夢の中の私は身体的には小学生だったが、精神的には成人の成熟度を持っているようだった。

教室で席替えの指示をする先生や他の生徒の振る舞いの意図がよくわかる。他の生徒はこれから始まる席替えにはしゃいでいたが、私は至って冷静だった。

冷静に事の進行を見守っていると、一人の女の子が私に声をかけてきた。彼女の申し出に従い、その子と隣の席になる約束を交わした。

どうやら最初に女子が席を決める番のようであり、男子はいったん教室から出た。女子が席を決め終えたところで交代し、男子が教室に入った。

彼女の指示した席は、瀬戸内海を見晴らすことのできる教室の右端にある。その席に近づいてみると、すでに別の女子生徒がそこを確保していた。

女子同士が隣になることも可能なルールだったか一瞬戸惑ったが、すでに席が確保されてしまっていたのであれば仕方ないという気持ちになった。その席から離れ、空いている席を見つけようとしたが、一向に空席が見つからない。

ゆっくりと席を選んでいるうちに自分だけがまだ席を見つけられていないことに気づいた。廊下側の席を眺めた時、銃を持った人間が廊下側から教室に入ってきはしないかという不安がよぎった。

あれこれと空想や考え事をしているうちに、自分だけが席を確保できていない状態になってしまったのだ。しかし幸いにも、一つだけ席が残っていることに気づき、その席は隣に座ることを約束した女の子の席の斜め前にあった。

約束を完全に果たすことはできなかったが、斜めがけならまだいいだろうと思って、私は安堵の気持ちとともにその席に着いた。そこで夢の場面が変わり、私は自分の部屋にいた。

そこでも私は小学生の身体を持っており、小学生の未成熟な精神と成人の成熟した精神の両方を持っているようだった。先ほどの女の子とその友人が遊びに来て、三人で雑談をしていた。

部屋の作りが奇妙であり、背の低い本棚が部屋を区切るかのように部屋の真ん中に置かれていた。彼女たちの話を聞きながら、私は本棚から一冊の書籍を取り出した。

表紙のデザインとそれを持った時の重みから、どうもそれはカントの哲学書のようであり、本を開くと、中身の文字が全てチェック柄だった。本を正面から読むとそのチェック柄だけが浮かび上がる仕組みになっていて、何が書いてあるのか一向にわからない。

自分の部屋で熱心に何かを話している二人の友人の話を聞きながら、ソファに腰掛けて体を傾けてこの書籍を眺めた瞬間に、突然文字が立ち現れた。どうやら、この書籍は真正面から読んではならず、体を傾けながら読むことを要求しているようだった。その気づきを得たところで夢から覚めた。 昨夜見た夢にはいくつもの重要なシンボルが現れた。とりわけ印象的なのは、箱根から新宿に向かう特急列車を待つ駅のプラットホームで出会った友人の口から出てきたゴキブリのような虫である。

一昨年、日本で生活をしていた時に、ある日、府中の自宅で昼寝をしていた際に強烈なビジョンを見た。そこで私は、自分の内側に潜む無数のゴキブリのような虫が、地獄の業火に焼かれているビジョンを見たのである。

その姿はおぞましいと言うよりも、地獄の業火があまりにも鮮やかであり、それは極めて美しい光景であったと言える。炎が放つ光があまりにも鮮明であり、今でもそのビジョンをありありと思い出すことができる。

ビジョンが消え、仮眠を終えた後に気づいたのは、そこで現れていたゴキブリのような虫たちは自分の中に潜む無数のエゴを表しているということだった。「地獄の業火」と形容することのできるあの炎が意味するものが何なのかは未だに定かではないが、ゴキブリのような虫は間違いなく自分の中にある無数のエゴであった。

昨夜の夢に現れた虫は、確かに友人の口から出てきたのだが、それはもしかすると自分の中にある最後のエゴの塊を象徴しているのかもしれない。結局、その虫は生半可な炎で死滅することがなく、逆に攻撃性を発揮しながら私に襲いかかってきた。

ここからわかるのは、この虫こそが自分が乗り越えるべき最後のエゴの障壁だということであり、それは生半可な形では乗り越えることができないということだ。一昨年のビジョンで見たように、地獄の業火が必要であり、このエゴの塊を業火で焼き尽くさなければならない。

だが、上記で述べたように、その業火が何であるかがわからないがゆえに、今の私には最後のエゴの障壁を乗り越えるための打つ手がない。 最後の夢の場面において、哲学書の中身がチェック柄であったことは興味深い。体を傾け、視線を変えると、文字が浮かび上がってくるという点が特に何か重要なことを示唆しているように思える。

真に意味のある書物というのは、常に深層的な意味を隠しており、書物に書かれている文字を真正面から読んではならないことを私に伝えているようだった。深層的な意味を捉えるためには、視点をずらすことが出発点となり、そこから意味の解読に向けた歩みが始まるのだ。

真っ向から書物に向き合う時期を経て、斜めからその書物と向き合い、再び真っ向からその書物に向き合う時期が来ることを私に教えるかのような夢だった。昨夜の夢は非常に示唆に富む内容であり、もしかすると折を見て今日の夢の内容を思い出すことになるかもしれない。そんな予感がする。2017/8/4(金)

No.35: Essence and Pure Sensations I left Copenhagen to Oslo. I took a train at Copenhagen Central Station at 8:20.

Just after I sat down on my seat, I began to read Emerson’s writings. Quite coincidentally, Emerson’s philosophy about poems was exactly what I thought in the morning in the hotel today.

Poets can grasp the essence of objects, and they can represent pure sensations——thoughts, emotions, feelings, etc.——in the form of poem.

Here, I thought that we could trace back to the essence of objects if we can comprehend the uncontaminated sensations of poets. On the other hand, when we create a poem, we have to capture the essence of objects and to embody our pure sensations in our poem.

Otherwise, our creation would be lack of profundity. Thursday, 8/10/2017

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