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1365. 森有正全集と「差異」について


夕食前、ようやく一息つくことができた。今日は起床直後にみなぎる活力を感じていたのだが、そうした活力があったとしても、その日が充実したものになるかどうかはそれほど関係ないことを思い知らされたような一日だった。

午前中のゼミナールの件をまだ引きずっており、音声の不具合で受講者の方々に迷惑をかけてしまったことがまだ気にかかっている。それに付随して、クラス終了後、資料を全てPPTに作り替えなければならなかったことが、随分とエネルギーを消費させることにつながってしまった。

慌ただしく作業に従事していると、書斎の窓の景色を眺める心の余裕がなかったことに気づかされる。いつも私は、絶えず外の景色を眺めながら仕事を進めることで内側のリズムを生み出している。

専門書や論文を読むときでもそうであるし、何か文章を書くときでも、常に外側の景色を眺めることが不可欠になっている。外の景色を眺めること、とりわけ広大な空を眺めることは、自分の発想を広げ、心を落ち着かせる作用があるようなのだ。

目の前に広がる空のように、絶えず広い心を持って仕事に臨みたいと強く思う。 今日はもう入浴の時間が迫っており、これまでのところ専門書や論文を一ページも読んでいない。夕食後は、久しぶりに森有正先生の全集第一巻をゆっくりと読みたいと思う。

本書の中に掲載されている二つの思索的エッセイ『バビロンの流れのほとりにて』と『流れのほとりにて』には、忘れられない思い出がある。昨年、日本から欧州に向かう際の機内で食い入るように読んでいた記憶がまざまざと蘇ってくる。

本書を読む私の目頭は、何度も熱くなっていたように記憶している。探究者としての自らのあり方と生き方を猛省させられるような記述、同時にそのような自分を励ますかのような記述、反省の念と奮起の念が同時に生起するかのような感覚の中で、私はこの本を食い入るように読んでいた。

本当に偶然だ。昨年この本を読んだのは、まさにちょうど今頃の時期であり、数日のズレしかない。

日本を離れてから一年の月日が経った。気付かない間に欧米で生活をする六年目の生活に入った。

あの時からの一年をここでもう一度振り返りたい。自分がどれだけ歩みを進めることができたのか、辿り着くべき場所への距離があとどれくらいあるのかを含め、今日ここでもう一度本書を紐解きたいと思う。 昨日は、“Complexity Theory and the Politics of Education (2010)”という書籍を読み終えた。本書は、複雑性科学の観点から、教育実践や教育政策に関して思想的な検証を行う内容になっている。

様々な研究者の論文を集め、教育を複雑性科学の観点から探究するという共通性がありながらも、研究者ごとに異なる独自の視点や思想が各論文に盛り込まれており、なかなか関心をそそるものだった。特に、フランスの哲学者ジャック・デリダやミシェル・フーコーの教育思想に触れている論文が随分と多く、彼らの教育思想については少し前から関心を寄せていたので、とても参考になる箇所が多々あった。

教育実践や教育政策に関して何か論文を執筆する際には、必ずや再び読み返すことになる書籍である。本書の中で、米国の文化人類学者グレゴリー・ベイトソンの「差異を見つけようとすることによって初めて差異が生まれる」という言葉が引用されていた。

私は静かにその言葉の持つ深い意味を聞き取ろうとしていた。これまで何度も書き留めてきたように、私たちは日々の生活を送る中で、自分の内側では絶えず差異が生み出されているのだ。

しかし、私たちの多くはそれに気付くことがない。いや、それに気付こうとする意識がないのだ。そのような状態では、私たちの内面世界が深まっていくことはないだろう。

今この瞬間も絶えず生じている差異に気付きの意識を与えることによって、初めてそれが差異として顕現し、「差異が成熟をもたらす新たな差異を生む」という循環が生まれる。日々日記を書き留めることの一つの重要な役割は、差異を見つけようとする意識を喚起し、それが自らの成熟につながる差異を生み出すことにあるのだと思う。

夕食後、森先生の著作を読むことによって、また自らの内側に生じる差異を認識し、それを言葉の形に残しておきたいと思う。2017/7/29(土)

No.10: The Flux of Nouns from My Unconsciousness Robustness, personification, epitome, juxtaposition, presupposition, fortune, rhapsody, malediction, reconciliation, harmony, sunrise, dream, annunciation, etc. The list endlessly goes on.

Every word on the list corresponds with a particular image and sense, which is very intriguing to me. I have to paraphrase that every word invokes a specific image and sense rather than it correlates with them.

Thus, a word is a shamanic invocation of particular image and sense. Friday, 8/4/2017

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