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1309. 生命のぬくもり


早朝の三時半、半覚醒状態の意識の中で、私は何かの気づきを得たようだった。それはダイナミックシステム理論を活用した人間の発達に関するものであり、「階層的統合化(hierarchical integration)」という概念に関するものだった。

非常に大きな気づきであり、ノートにこれを書き留めていたとばかり思っていたのだが、またしても半覚醒状態の意識がもたらす錯覚であった。階層的統合化という概念の本質を突くような具体例か比喩が思いついたようだったのだが、今となってはそれを思い出すことはできない。

その具体例か比喩の形はもはや見えないのだが、その目には見えないものが自分の内側に留まり続けているという感覚だけがある。 今朝は六時過ぎに起床し、六時半から本日の仕事を開始した。昨日は土曜日であったから、今日は日曜日だ。

今日は書斎の机に置かれた論文を順番に読み進めていく。読む分野も数も決めることなく、積み重ねられた論文を上から順番にただ読んでいく。そのような日になるだろう。

少し前かがみになって机の上に置かれた論文を取ろうとすると、書斎の窓から一本の街灯が見えた。この家に住み始めてから一年が経とうというように、こんなところに街灯があることに初めて気付いた。

その街灯のてっぺんは平坦になっており、一羽のハトがそこで休んでいた。どうやらこのハトは一人らしい。

今この瞬間は少しばかり風が強いが、そのハトは微動だにせず街灯のてっぺんに留まっている。そして、ただ前方だけを見つめ、何かがやってくるのを待っているかのようだ。

すると、ハトは立ち上がり、身繕いをする動作を始めた。それが終わると、立ち上がったまま、再び前方だけを見つめていた。そのハトの前方を、二羽のハトが飛び去っていった。

それでもこのハトは街灯のてっぺんから動くことをせず、何かを待っている。もしかすると、このハトは何かを待っているのではなく、自己の孤独さを守ろうとしているのではないかと思った。その姿はとても気高く見えた。 昨夜は就寝中、階層的統合化に関する気づきのみならず、二、三の印象的な夢を見ていた。中でも特に印象に残っているのは、トイプードルの愛犬が現れた場面であった。

私はあまり馴染みのない部屋の中にいて、そこに敷かれている布団の上で寝ようとしていた。布団の上に横向きになって寝ようとしていると、愛犬が部屋の中に入ってきて、寝ている私に近づいてきた。

愛犬のトイプードルは、これから寝ようとしている私の顔を舐め回し始めた。しかし、それはかまってほしいというサインではなく、眠たいサインであった。

実際に、愛犬もちょうど私の枕の外側に横たわり、これから寝ようとし始めた。これは眠りの意識に落ちる前の出来事であったため、愛犬が自分の枕元にいることを私もわかっており、左手を愛犬の体の上に置きながら眠ることにした。

夢の中の私が、さらにもう一段深い夢の世界に入る寸前で、愛犬の心臓の鼓動をありありと感じた。この脈打つ心臓の動きに触れた時、生命のぬくもりのようなものを感じた。

左手に温かさを感じ、その温かさが全身を包んだ。その瞬間、生命のぬくもりを感じることは、これほどまでに強烈な幸福さをもたらすのだということを知った。

その夢のさらに奥にある夢の世界に入ることなく、消えることのない幸福感を抱えたまま、私は夢から覚めた。その幸福感は、夢から覚めた現実世界においてもなお自分の内側に残っていた。

その連続的な感覚に気づくとき、今この瞬間の世界と先ほどの夢の世界は連続したものなのだと知る。夢から覚めた後に広がるこの夢の世界で、今日これから自分がなすべきことに取り組んでいきたい。2017/7/16

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