top of page

1271. エーリッヒ・フロムの仕事から


今日はこれから、エーリッヒ・フロムの “Escape From Freedom (1941)”とジャン・シノットの “The Development of Logic in Adulthood: Postformal Thought and Its Applications (1998)”に取り組む。

昨夜少しばかり、フロムの書籍の冒頭部分だけを読んでいたが、第二次世界大戦の前に執筆された本書には、この現代社会を取り巻く状況に対しても当てはまるような洞察が盛り込まれていることがすぐにわかった。

人は自由を獲得することを希求しながらも、金や権威に飲み込まれることによって、結局自由から遠ざかっていく姿は、昔も今も変わりはないだろう。また、フロムが序章の中で指摘しているように、私たちは自由から遠ざかっていくのみならず、機械化された社会の中に組み込まれることによって、ますます自律性を喪失し、機械的な人間に堕していく様子というのは、人工知能が台頭する現代社会においてますます加速する傾向なのではないかと思う。

フロムの問題意識と私のそれは大きく合致しているようであり、この書籍は今読むべきものなのだと思う。本文をじっくり読み始めるのは今日からだが、フロムが本書を通じて、人々に新たな認識をもたらすことを主題としていたことに励ましを受けた。

フロムは間違いなく、当時の社会のあり方や蔓延する発想の枠組みに対して危機感を持っていた。そして、そうした強い危機意識をもとに本書を執筆したということが、冒頭の文章だけからでも十分に伝わってくる。

こうした危機意識というのは、一人の個人の中で保持されているだけでは集合的な変革に一切繋がらない。そこにはやはり、危機的状況の冷静な分析と自らの実存的な危機意識の共有が必要となる。

あるいは、自らの強い危機意識をもとにした冷静な分析があり、そこから新しい発想の枠組みを提唱することによって、人々に新たな気づきをもたらし、これまでとは異なる発想の枠組みを獲得させるような取り組みが非常に重要になる。

まさにフロムは、本書を通じてそのようなことを試みていたのだと思う。そうした姿勢に共感と感銘を受けたがゆえに、午前中はまずこの書籍を読むことから始めたい。

本書を読み終えたら、シノットが編集した書籍に移る。本書は、ピアジェが提唱した形式操作段階の思考の枠組みを超えて、後形式操作段階の思考特性に特化した内容となっている。

本書を随分と前に購入し、その時に簡単に目を通していただけであったこともあり、腰を据えて本書を読みたいという気持ちに昨日ふと襲われた。私の記憶が正しければ、本書は後形式操作段階のみならず、「後・後形式操作段階(post-post formal stage)」の思考特性についても言及している。

こうした高度な思考段階は、現実世界では滅多にお目にかかることがないため、このところはその段階の思考特性に関する探究から意識的に距離を取っていたが、久しぶりにこの段階の思考特性に触れてみたいと思うような気持ちが喚起された。午前中は、まずこの二冊に集中したいと思う。2017/7/7

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)

bottom of page