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1234. 中学生時代のあの気づきから


ここ数日間、南アフリカのポール・シリアーズという哲学者の仕事に感銘を受けている。彼の論文を読んでみて、非常に感銘を受けたため、早速彼について調べてみると、シリアーズは、若くしてこの世を去っていることを知り、非常に残念な気持ちになった。

シリアーズは、複雑性科学に対して哲学的な観点からいくつもの重要な仕事を残していることを知り、彼の論文をいくつか読んだことによって、彼の仕事の重要性に気付かされた。 午前中に読んでいたのは、シリアーズが書き残した、規則(ルール)と複雑系に関するものである。とりわけ、ダイナミックシステムの性質を理解する際に、そのシステムの挙動を決定づける規則を把握することが不可欠となる。

実際に、研究の中でダイナミックシステムを数式モデルとして把握する際に、こうした規則をつかむことが重要になる。ダイナミックシステムの特性として興味深いのは、その挙動が一見ランダムに思えても、実はそのランダムを生み出している規則が存在しているということである。

こうした規則は、「アルゴリズム」と呼んでもいいだろう。アルゴリズムに関して、昨夜偶然にも、この論点に関する私の過去の記憶が想起されていた。

私が中学生の頃、お気に入りの音楽を入れたウォークマンのシャッフル機能を活用して、ランダムに曲を再生していたところ、ある時期に不思議な直感を得た。それは、ランダムに曲が再生されるはずなのに、ある曲が流れ後に、次に来る曲が直感的に何かわかることが何度もあったのだ。

それらのお気に入りの曲を何度も何度も繰り返し聴いていたためか、どうやら私は、シャッフルを生み出すアルゴリズムの存在に気づいたようなのだ。もちろん、どのような数式で記述されるアルゴリズムがそこにあるのかまではわからなかったが、「シャッフル機能というのは、どうやら無秩序な形で曲を再生させるのではない」ということがはっきりと知覚されたのである。

つまり、ウォークマンの中に搭載されているシャッフル機能は、無秩序なランダムを生み出すものではなく、あるアルゴリズムという規則に基づいた秩序的ランダムを生み出すものであることに、当時の自分は気づいたのである。

私は技術屋ではないため、ウォークマンのシャッフル機能に関する実際のところはわからないが、中学生時代の私は、そのような仮説を持ち、大変興味深いと思っていた。そのような記憶を遡ってみると、今この瞬間の私が、人や組織という複雑なシステムを対象に研究を進め、その中に潜む規則性を見つけることを一つの仕事にしていることは、大きな偶然の一致だろう。

中学生時代のあの素朴な気づきが、今の私の中でも依然として、一つの感動的なものとしてあり続けているのだ。これからも、複雑なシステムに潜む規則の発見は、私を捉えてやまないものの一つであり続けるだろう。2017/6/29

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