昨日と同様に、今日も気温が低い。日本はそろそろ梅雨入りの時期だろうか。
フローニンゲンは、先週は日中日差しの強い日もあったが、ここ最近はまた肌寒い気候に戻っている。昨夜の就寝前に寝室の寒さを感じ、また、起床直後にも室内全体が寒いように感じた。
今日も曇り空が窓の外に広がっている。天気予報によると、若干の小雨が降るようだ。外の天気がどうであれ、私の毎日の過ごし方やあり方は揺らぐことがない。
内側の芯が促す仕事を淡々と愚直に継続していくだけである。昨夜は、一日の全ての仕事を終えた後、作曲の学習と実践を行っていた。
つくづく人間の学習プロセスは興味深く、徐々に音楽言語を理解し始めている自分がいることに気づいた。一切の音楽知識がなかった私が作曲に取り組み始めて日は浅いが、それでも日々の生活の中で作曲の学習と実践に充てる時間を少しずつ確保していけば、このように徐々に音楽言語が自分の内側に構築されていくのだ、ということを身を持って体験した。
これは振り返って見て気づくことだが、毎日作曲のテキストを少しずつ読み進めていると、この二ヶ月以内に三冊ほどの入門テキストを読み終えることができた。作曲というのは他の実践領域と同じく、教育哲学者のジョン・デューイが提唱するように “learning by doing”の姿勢が非常に大事になる。
私はそれらのテキストに書かれた文字を単に目で追っていたのではなく、それが実践的なテキストであるということも手伝って、とにかく自分の手を動かしながら曲を作っていくということを行っていた。まさに経験学習を進めることによって、私は音楽言語を自分の新たな言語体系として内側に構築していくことができたのだと思う。
また、テキストの演習を作曲ソフトを活用しながら取り組むことによって、作曲ソフトの操作も随分と慣れてきた。新たな言語を自分の内側で構築していく喜び、そしてその言語を表現するためのソフトの活用に習熟していく様子は、プログラミング言語のRを学んでいた頃の様子と似ている。
Rを学んでいた時も、プログラミングコードを書いていく行為そのものの中に喜びを見出し、少しずつRの言語体系を習得していった。そのおかげで、フローニンゲン大学での研究にも、不自由なくRを活用することができている。
今週末から来週の頭にかけて、 “Alfred’s Essentials of Music Theory (2004)”という音楽理論の基礎テキストの中で、最後の課題曲であるベートーヴェンの『エリーゼのために』を解析し、それを作曲ソフトの五線譜上に再現するということを行いたい。
これには数日間の時間を要するだろう。それが終われば、いよいよ “Composing Music: A New Approach (1980)”というより実践的なテキストに取り組んでいきたいと思う。
夏の休暇を利用して、このテキストを最低でも一回読み通すことができたら、作曲に関する知識と技術の基盤が構築されるだろう。このテキストもとにかく実践課題が豊富であり、まさに “learning by doing”の姿勢を持ってこのテキストに取り組みたい。2017/6/8