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942. 研究に関する面白い発見事項


今日は非常に仕事のはかどる一日であった。今日が土曜日であることを忘れてしまうほどに、仕事に熱中していたように思う。

特に研究論文に関して、また少し進展があった。現在取り掛かっているのは、発話構造の複雑性の観点から教師と学習者間のシンクロナイゼーションを分析する箇所である。

この箇所に関して、論文のストーリーとして面白いものが湧き上がり、それを具現化するにはどうしたら良いかをあれこれと考えていた。論文アドバイザーのサスキア・クネン教授との前回のミーティングでは、シンクロナイゼーションに関して執筆した文章を題材にディスカションをした。

教師と学習者間の発話行動に着目し、それに対してアトラクターを発見し、アトラクターが全五回のクラスを通じてどのように発達していったのかを記述した箇所に対して、クネン先生からも非常に面白い発見事項であるというフィードバックをもらっていた。

一方、前回提出した発見事項に関しては、「結局何が解明されたのかが不明確である」というフィードバックを受けていた。そのフィードバックについて改めて考えてみたときに、確かに発見事項が何であるのかが明瞭ではなく、そもそも発見事項に至るストーリーが面白みに欠けるという印象を自分自身でも持っていた。

そのため、今日はストーリーを再考し、そのストーリーに沿って分析が進められるのかどうかを検証していた。シンクロナイゼーションに関するストーリーは、まず最初に、全五回のクラスを通じて、教師と学習者間の発話構造におけるシンクロナイゼーションがどのようなプロセスを経ていたのかを視覚的に捉えることのできるグラフから始まる。

このグラフを作成するために、プログラミング言語のRを活用した。グラフを見ると、教師と学習者間の発話構造の複雑性が合致している時もあればずれていることがある。

また、仮に合致している場合であっても、どのレベルの発話構造でマッチングが起こっているのかによって、シンクロナイゼーションのレベルが異なる。単純な例としては、教師が難解な概念や理論を難しいまま説明した場合には、学習者は基本的にその説明レベルについていくことができず、学習者のその後の発話構造のレベルは低いものになる傾向が強い。

しかし、そうした状況においても、時に学習者は高度な発話レベルに付いて行き、教師の発話構造と同じレベルで返答をする場合があるのだ。発話構造レベルのこうしたマッチングは、平易な概念や理論を教師が説明する際に生じるマッチングよりも稀であり、マッチングそのもののレベルも高いと言える。

Rの中にある “windwodrp”というパッケージを用いれば、こうしたマッチングのレベルの差異までも分析することができ、さらにはそのレベルの推移を時系列で捉えることができる。つまり、最初の分析で、シンクロナイゼーションの発達プロセスが変動性を伴ったものであることを示したい。

その後、それではこの変動性はどのような種類のものなのかを「トレンド除去変動解析(DFA)」を用いて簡単に分析したいと思う。実際のところ、この分析をRを用いて先ほどすでに済ませ、結果は大変興味深いものとなった。

仮に、時系列データがランダムである場合、そのデータに対してDFAを適用すると、ホワイトノイズの変動性パターンを示す。一方、先ほどの分析からわかったのは、今回の研究におけるシンクロナイゼーションの発達プロセスは、ピンクノイズの変動性パターンを示していたのだ。

ピンクノイズの波形は、バッハの音楽や健康な心臓の鼓動などが発することが分かっており、今回のデータがそれらと同様の変動性の波を持っていたことを示した結果は興味深かった。今回の研究におけるシンクロナイゼーションの発達プロセスの全体としての構造が、ピンクノイズの変動性を持つことがわかったところで、今度はよりミクロな分析を行いたい。

具体的には、先ほどの全体のグラフを眺めると、各クラスのどのタイミングで最も高度な発話構造レベルでのシンクロナイゼーションが見られ、逆にどのようなタイミングでミスマッチが起こっているのかを分析していきたい。まずは、各クラスの中で、そうしたシンクロナイゼーションとミスマッチが起こっている箇所を特定する。

その後、さらにミクロな観点から分析を行い、教師と学習者間の発話行動の観点から、そうしたシンクロナイゼーションとミスマッチが起こった要因について分析を行いたいと思う。要約すると、流れとしては、発話構造レベルの観点から全五回にわたるクラス全体のシンクロナイゼーションの度合いを可視化し、変動性のパターンを特定する。

その後、各クラスのシンクロナイゼーションとミスマッチが起こっている箇所を特定する。最後に、それらのシンクロナイゼーションとミスマッチがなぜ起こったのかについて、教師と学習者間の発話行動のパターンから分析を行うというストーリーにしたい。

明日の午前中と午後の時間を使って、このストーリーに関する論文箇所を執筆したいと思う。全体のストーリーの流れと分析の方法が明確なものになったため、勢いを持って論文を執筆することができそうだ。2017/4/14

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