オーストリア旅行から戻ってきてからの最初の朝を迎えた。旅の途中でも時間を見つけて日記を書き留めていたのだが、正直なところ、旅を通じて得られたものの内、ごくわずかなことしか書き留めることができなかった。
また、旅の最中において、言葉にならないような真の体験に襲われることが幾度となくあったため、言葉の感覚が麻痺していたように思う。そうしたこともあって、旅行中では思うように日記を書き留めておくことができなかった。
フローニンゲンに戻ってきた今日から少しずつ、旅での体験を咀嚼するような時間を設けたいと思う。静かな書斎において、これまでと同じように自分の仕事に打ち込む中で、オーストリアでの旅の体験が思い出されたら、その都度文章の形にしておきたいと思う。
あの旅が確かに自分の人生の中に存在していたということを忘れないためにも、そして、あの旅が私にもたらした確かな変容の兆しを逃さないためにも、旅を通じて湧き上がってきた思考や感覚をつぶさに書き留めておきたいと思う。
一つの旅が形式上終わりを告げたとしても、それは内側の世界では終わりを告げていない。終わりどころか、内側の世界では、形式上の旅の終わりを持ってして、新たなことが始まるのだ。
この始まりを静かに見守り、それが適切な発酵を迎えることを祈ってやまない。
今日から再び日常の仕事に戻る。その中でも今日は、「創造性と組織のイノベーション」のコースで課せられている論文を再度読み込んでいくことを優先的に行いたい。
というのも、このコースの最終試験が明後日に控えているため、今日と明日は特に集中的に学習内容を確認する必要があるだろう。オーストリアでの旅の道中も、このコースで取り上げられた論文を読み進めていた。
そのおかげで、今日からはコースの後半で取り上げられた論文だけに集中することができる。具体的には、創造性と認知、組織の創造性とイノベーションの創出というテーマに対して理解を深めていくことになる。
まずは講義レジュメを一読し、その後、取り上げられた論文を読むことによって、講義の内容を肉付けしていきたい。こうした作業を全て終えることができたら、各回のクラスの内容の中で、重要な概念や理論、そしてテーマについて、自分なりに文章の形でまとめておきたいと思う。
願わくば夕方からは、修士論文の修正・加筆を行いたい。昨日、アムステルダム国際空港からフローニンゲンに戻る列車の中で、交差再帰定量化解析(CRQA)に関する資料を眺めていると、大きな発見があった。
夕方からは、その発見が実際に自分の研究データにうまく適用できるのかをプログラミング言語のRを用いて検証したい。今日から再び、読みに読み、書きに書く日々を送ることになるだろう。2017/4/11