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909.【ウィーン訪問記】ウィーン国際空港に到着して


アムステルダム国際空港からウィーン国際空港まで圧倒いう間に到着した。いつもの旅と同様に、旅先に到着したらその場所を観光することに専念しようと思っていたため、フローニンゲンからアムステルダム国際空港へ向かう列車の中、そして、アムステルダムからウィーンに向かう飛行機の中では持参した論文を読んでいた。

今回は、オーストリアへの一週間の旅であり、荷物を最小限にしたかったため、持っていく論文や専門書は最低限のものにした。旅に出かけるのにそのようなものは必要ないだろうと言われてしまうかもしれないが、私にとってはやはり、いついかなる時も論文や専門書がそばになければ落ち着かない。

それらは音楽と同じように、私の精神を安らかにしてくれる力を持っている。そうした理由以外にも、論文や専門書を今回の旅に持参しなければならなかった理由がある。

一つには、ザルツブルグで参加する非線形ダイナミクスの学会を通じて、どうしても調べたい概念や理論が出てくるであろうから、非線形ダイナミクスの専門書の中でも自分が特に気に入っている書籍を持参することにしたのだ。

その専門書は、今回の学会をオーガナイズしているステファン・グアステロ教授が執筆した“Nonlinear dynamical systems analysis for the behavioral sciences using real data (2011)”というものだ。厳密には、この書籍はグアステロ教授の論文を含め、他の研究者の論文が集められて編集されている専門書だ。

この専門書は、現在の私の研究でも引用することが多く、非線形ダイナミクスを発達研究に適用している非常に優れた論文が数多く収められている。三日間の学会において、この専門書が必要になる時があるだろうと見越して、本書を持参することにした。専門書で持参したのはそれだけである。

一方、論文に関しては、オーストリアから戻ってきた週に、「創造性と組織のイノベーション」のコースの最終試験が待っているため、試験対策に向けて、このコースの課題論文を持参する必要があった。コンピューター形式の筆記試験に向けて、旅の移動中にできるだけ論文を繰り返し読んでおきたいと思っていたため、今回の旅に十本ほどの論文と講義資料を持参した。

実際に、ウィーンに到着するまでの移動時間は、持参した論文を読み続け、かなり学習がはかどったように思う。私にとって、旅の目的地での活動に専念するためには、こうした移動時間に自分の学習を進めておくことが不可欠であった。

まさに自分が呼吸するのと同じように、読むことと書くことが自分から片時も離れないものになりつつある。それは衝迫的なものでもなんでもなく、実に自然なものである。

読むことと書くことが、いよいよ自分の存在と不可分になったことを実感したところで、飛行機がウィーン国際空港に到着した。飛行機から降りて地上に足を着けた時、ウィーンの風を感じた。

それは、フローニンゲンの風よりも暖かかった。これから二日間、ウィーンの風を全身に浴びながら、この街と少しでも近しい関係を築きたいと思う。

その第一歩として、これから早速、ウィーンを代表する音楽家であるモーツァルの記念館に足を運ぼうと思う。そこで自分が何と出会うことになるのか楽しみであると同時に、楽しみの奥にある内側からの自己展開を逃さず目撃したいと思う。2017/4/3

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