今朝は五時半に起床し、目覚めと共に、一昨日から昨日にかけて張りのあった肩の凝りがほぐれていることに気づいた。姿勢にはいつも気をつけていながらも、ここ数日間、文章を同じ姿勢で書き続けることが多く、そのために肩に凝りができてしまっていたようだ。
昨日の夜は、特に肩の凝りをほぐすような運動をしていたため、その効果が今朝になって現れたようだ。書斎には、確かに一般的な椅子も備え付けてあるが、一日の間中、私がその椅子に腰掛けることはほとんど無い。
その代わりに、少しでも姿勢を良くし、身体全体に適度な変動性をもたらすために、バランスボールに座りながらずっと仕事をしている。仕事の合間合間に、単純にバランスボールの上に座るだけではなく、これを活用したエクササイズも適宜導入し、身体を常に緩ませた状態にしておきたいと思う。
張り詰めるのは、仕事の最中において、思考と思考をつなぐ糸や既存の知識と新たな知識を結びつける糸だけで良い。 今日の早朝にまず取りかかったのは、現在の研究で用いている「状態空間グリッド(SSG)」の開発者でもあるトロント大学のマーク・レヴィスという発達科学者の論文である。これは、20年近くも前の1999年に書かれたものだが、今の私の関心に直結するいくつもの洞察をもたらしてくれた。
特に、先日、論文アドバイザーのサスキア・クネン先生に指摘された箇所について、その答えになるような記述がこの論文の中にあった。具体的には、SSGを活用する際に、一つの状態がアトラクターであるとどのように認定するのか、という問題である。
この論文でも指摘されているように、観察過程において、何回ほどその状態を示せばアトラクターと見なせるのか、その状態に戻る時間の短さがどれほどであればアトラクターと見なせるのか、ということに関して明確な基準はない。
そのため、レヴィスは、基本的な統計手法を用いながら、主に二つの手順でアトラクターを特定していくアプローチを紹介していた。一つ目は、非常に単純な方法だ。
状態空間において、アトラクターというのは、システムが同じ地点を何度も訪れる現象を指す。そのため、SSGの分析結果を参照した際に、まずはシステムが二回以上ある地点を訪れているものを特定する。
そして、全体の観察事象の数を踏まえて、統計的に、その地点に複数回訪れた現象が確率的なものではないことを示せばよい。これまでの経験上、研究対象とするシステムが二回以上ある地点に訪れることはしばしばあるため、わずか二回ほどしかある地点に訪れていないのであれば、それは統計的に見て、確率的なものだと判断され、アトラクターと認定されることはないだろう。
今回の私の研究で検出された極端なアトラクターは、50回の観察事象のうち、29回ほどある地点を繰り返し訪れていた。このように、基本的な統計手法を活用して、アトラクターと思えるような現象が、確率的にそのように見えるだけなのではないかということを棄却して、それがアトラクターであることを立証していくというのが一つ目のアプローチだ。
二つ目のアプローチについても、統計学のt検定を用いる。一つ目のアプローチを通じて、アトラクターの候補を発見した後、今度はその強度を測定していくことが大切になる。
その際の、一つの重要な指標は、「帰還時間」というものだ。これは、システムがある地点に戻ってくるまでの時間の長さを測定するものだ。
アトラクター状態というのは、求心性が強く、システムの挙動をその地点に引き寄せる力を持っている。そのため、アトラクター状態の強さが強ければ強いほど、システムはその地点に短期間のうちに戻ってくることになる。
帰還時間という指標は、まさにそれを測るものなのだ。この指標を用いてアトラクターの強度を測定するに際しても、その帰還時間が他の地点の平均帰還時間よりも短いことを統計的に立証していくことが必要になる。
これら二つのアプローチに関する説明は、ぜひとも私の論文の “Method”セクションに盛り込んでおきたい。また、実際にこれら二つのアプローチを採用することによって、アトラクターの特定とその強度の測定をより厳密に行いたいと思う。
マーク・レヴィスは、SSGの開発のみならず、エスター・セレンやポール・ヴァン・ギアートと同様に、ダイナミックシステム理論を発達現象に適用した研究で多大な功績を残している。今日の午前中は引き続き、レヴィスの他の論文を読むことになるだろう。2017/3/22