昨夜は、四月の頭にザルツブルグで行われる学会へ向けた、オーストリア訪問に関する旅程を練っていた。ザルツブルグへ訪れる前に足を運ぶウィーンでの宿泊先を確保し、ザルツブルグでの宿泊先も確保したため、その他に事前予約が必要なものはない。
航空券に関しては、数日前に購入済みなので、あとは出発の日を待つだけとなった。今回は、列車ではなく、飛行機でオーストリアに向かうことにした。
その際、アムステルダム以外にも、ロッテルダムやアイントホーフェンなどの主要都市からもウィーンに向けた飛行機の路線があることがわかった。ただし、よくよく考えてみると、フローニンゲンからロッテルダムやアイントホーフェンに行くのは、アムステルダムに行くよりも多くの時間がかかってしまう。
そのため、いつものようにアムステルダムの国際空港からウィーンへ飛ぶことにした。
ザルツブルグでの学会が終わった後、もう一日ほど完全な自由時間を設けて、ザルツブルグに滞在するつもりである。特に、この街にあるモーツァルト博物館には、ぜひとも足を運びたいと思う。 当初の予定では、ザルツブルグでの終日観光を終えて、さらに次の日にザルツブルグの空港からアムステルダムに戻ろうと思っていた。この空港は、ザルツブルク出身の作曲家モーツァルトにちなんで、「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト空港」という名称が付けられている。
この機会に、ぜひモーツァルト空港を活用してみたかったのだが、あいにく、ザルツブルグからアムステルダムに戻る良心的な価格の便は、夜の遅い時間帯のものしかなかった。そのため、最終日は、ザルツブルグからウィーンに列車で移動し、ウィーン国際空港からアムステルダムに戻るのが賢明だと判断した。 そのような計画を昨夜練っていた。旅程を組むというのは、完全に事務作業の一つであるが、未だ訪れぬ旅先について想像を膨らませ、あれこれと計画を練るのは悪くない。
歴史や観光場所などを含め、その街について事前に調べることを通じて、その街について親しくなっていく。その街に足を踏み入れる前から、すでにその場所を訪れたかのように、頭の中でその街の雰囲気や散歩コースを想像することは実に楽しい。
出発に向けて、特にザルツブルグに関しては、もう少しあれこれ調べておきたいと思う。その後、他の事務作業として、昨日オランダ政府から送られてきた一通の封筒を開けてみた。
すると、それは保険料の還付に関するものであった。先日、知人から、オランダで収入がない人や留学生などは、オランダ政府に申請をすれば、居住に際する家賃手当や保険料の手当が出ると聞いていた。
オランダに来てから、かれこれ八ヶ月が経とうというのに、私はそうした情報に大変疎かった。調べてみると、確かにそのような補助制度がこの国にあることがわかった。
私もオランダで収入を得ているわけではなく、滞在ステータスも留学生であるため、申請してみようと思ったところ、現在住んでいる家賃が基準の金額を上回っているため、家賃手当を貰うことはできなかった。
ただし、保険手当に関しては、それがもらえることがわかった。保険手当の金額は、月々、日本円にして一万円ほどであるが、それでも支給されるだけ有り難いと思う。
先日、行きつけの美容師のロダニムとオランダ政府の社会手当の手厚さについて話をしていたのを思い出した。確かに、個人の所得税や企業の法人税などの税率は、日本よりも遥かに高いのだが、そのようにして得られた税金を、社会手当等を含め、オランダ政府はうまく活用しているような印象を私に与える。
実際に、今回私は、保険手当について恩恵を受けることになった。また、フローニンゲン大学に留学する際にも、オランダ政府から返済義務のない奨学金を支給してもらっている。
こうしたことを考えると、どれだけオランダという国から支援を受けているのかとういことを身に沁みて実感する。もちろん、オランダから受けている支援というのは、そうした金銭的なものだけではない。
この国が生み出す落ち着いた環境と雰囲気の中で、自分の探究活動に邁進することができているという恩恵も受けている。私は、オランダという国から有形無形の恩恵を受けていることを忘れてはならないだろう。
いつになるのかわからないが、オランダという国に対して、私から恩返しをする必要があることを強く実感する。それに向かって、今日も明日も自分の仕事を進めていきたい。2017/3/22