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861. 交差再帰定量化解析(CRQA)に関する優れた論文


早朝の突発的な雨が降り止んで以降、今日は一日を通して良い天気に恵まれた。息抜きと気力の充電を兼ねたランニングをするために、昼食前に家を出た。

帰宅後、研究論文の続きを執筆していた。その中で、今回の研究で用いる「交差再帰定量化解析(CRQA)」というのは、つくづく面白い手法だと思った。

ただし、私はこの手法の背景にある豊穣な数学理論についてほとんど知らない。しかし、発達科学の研究に非線形ダイナミクスを適用する理論的・実践的なコースを、将来的に世界のどこかの大学院で教える機会に恵まれれば、ぜひともそれを引き受けたいという思いがある。

そのため、CRQAのように、自分の研究で活用した非線形ダイナミクスの手法から順番に、その背景にある数学理論についてじっくりと理解を深めていこうと思う。私の関心テーマの性質を考慮すると、非線形ダイナミクスに関する難解な数式を解けることは、ほとんど私には要求されていない。

必要なのは、その手法が発達現象のどのような側面を照らし出すものなのか、その手法を適用する際に辿る一つ一つのステップの数学的な意味は何なのか、そして可能であれば、活用される数式の意味を理解しておくことである。

そうした第一歩が、明日から再度真剣に読もうと思っている、”Recurrence plots for the analysis of complex systems (2007)”という論文を読むことにあるだろう。これは、非線形ダイナミクスの手法に関して私のアドバイザーを務めてくれているラルフ・コックス教授から勧めてもらったものである。

この論文では、CRQAの母体となっている、「再帰定量化解析(Recurrence Quantification Analysis:RQA)」が、そもそもどのような数学理論から生み出され、どのような手順でその手法が構築されているのかを説明する専門的な論文である。

RQAにせよCRQAにせよ、その手法をRやMATLABを通じて活用した際に、およそ八つほどの指標が出力されることになる。RやMATLABを用いる場合にも、それらの指標をそれぞれ計算する必要もなければ、それらの指標がどのように算出されたのかも知る必要はそれほどない。

しかし、この論文は、それらの指標がどのような変数を持つ数式から生み出されたのかというところも含めて、各指標について細かく解説している。そのため、論文の随所に数式が登場するのだが、それでもこの論文は、CRQAとRQAに関する本質を学ぶ上で、非常に優れた論文のように思える。

明日からこの論文を本格的に読むことにしたのだが、本日、研究論文への引用も兼ねて、少しばかりこの論文に目を通していた。すると、この論文がそもそも、物理学の世界でも非常に権威のある “Physics Reports”というジャーナルに掲載されているものなのだということを、遅まきながら知った。

それゆえに、物理学に関して門外漢である私にとって、初読のときにこの論文を読むハードルが高かったのだと気づかされた。この論文は、80ページにわたる小冊子のような分量であるが、いつか発達科学と非線形ダイナミクスを架橋するような専門的なコースを、世界のどこかの大学院で担当するためにも、焦らずに腰を据えて本論文に取り組みたい。2017/3/21

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