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852. サイコセラピストとクライアントの相互作用に関するDSAを用いた研究


今日は午後から、「複雑性とタレントディベロップメント」のコースで課せられているグループワークに取り掛かっていた。この課題では、最終成果物として、二人一組で一つの発達現象のプロセスを調査した論文を執筆することが要求されている。

私は、インドネシア人のタタと組んで、この課題に取り組んでいる。当初は、タタと私がお互いにコーチとクライアント役になり、コーチ側のクライアントに対する理解力とクライアント側のコーチに対する信頼度の発達について調査をしようと思っていた。

しかし、このコースを担当するマライン・ヴァン・ダイク教授から、自分たちを調査対象にするのではなく、今回は発達現象を自分たちの目で実際に観察することも課題の意図である、というフィードバックを受けた。

そのため、研究の方向性を変え、APA(アメリカ心理学会)が提供しているセッションのビデオを観察し、セラピストの言語的介入の種類と発言の複雑性、そして、クライアントの発言の複雑性に焦点を当てていくことにした。

APAのウェブサイトにあるビデオを観察するというのは、ヴァン・ダイク教授からの提案であり、ウェブサイトに直接訪れた時には、それらのビデオは会員にならなければ閲覧できないものだった。しかし、ヴァン・ダイク教授から後日教えてもらったように、フローニンゲン大学のデータベースを通じてアクセスすれば、それらの動画を全て無料で閲覧することができることに気づいた。

そのおかげで、今回の研究で取り扱うデータには困らないことになった。それにしても、APAが提供するセッションの録画ビデオは、サイコセラピストだけではなく、コーチングなどの対人支援に関わる人たちにとっても非常に有益だと思った。

数多くのサイコセラピスト、そして、多数のテーマと介入方法が盛り込まれている各セッションのビデオは、発達支援に携わる者にとって非常に貴重なリソースになるだろう。そして、とても有り難いのは、録画ビデオにトランスクリプトが付いていることである。

実際の視聴時にはそれらはいらないのだが、セラピストとクライアントのそれぞれの発話を研究データとして扱う際に、筆写してトランスクリプトにするという大きな手間を省くことができるのだ。今日の昼食時に取り掛かっていたのは、トランスクリプトをエクセルに移し、セラピストとクライアントの発言という定性データに対してコーディングシステムを作ることであった。

タタと私で役割を分担し、私はセラピストの言語的介入の種類を分類するコーディングシステムを作ることになった。実際のところ、現在の修理論文の中で、全く同じ発想を用いて教師の言語的介入の種類を分類するコーディングシステムをすでに構築していたので、それを参考にしながら、今回の研究用のコーディングシステムを作った。

比較的速やかにコーディングシステムの草案ができ、実際のデータに対して全て適用し、とりあえずセラピストの行動分類を終えることができた。タタとの今回の研究では、セラピストの行動の種類が、クライアントの発言の複雑性——構成概念として正しくないかもしれないが、「情報の開示度合い」と今のところ位置付けている——にどのような影響を及ぼしていくのかを調査していく。

セッションの進展に応じて、クライアントの発言がどのように変動しているのかを観察し、複雑性のピーク時——エントロピーの最大値——を特定し、それを生み出した要因をセラピスト側の行動の観点から考察していきたい。

また、セラピスト側の発言の複雑性がクライアントの発言の複雑性に与える影響についても同じように調査をしていく。分析のセクションでは、二つの概念に絞って分析を行うことが要求されており、タタに変動性の分析を任せ、私はシンクロナイゼーションの分析を行いたいと思う。

その際に、現在の私の研究で用いている「交差再帰定量化解析(CRQA)」を用いたいと思う。特定されたセラピストの六つの行動を単純に数字を割り当て、一つの時系列データを作り、セラピストとクライアント双方の発言の複雑性は、最初から定量化された二つの時系列データとなる。

セラピストの行動が生み出す時系列データとクライアントの発言の複雑性が生み出す時系列データが、どれほどシンクロナイゼーションを起こしているのかをまず分析してみる。そして、セラピストとクライアントの双方の発言の複雑性が生み出す二つの時系列データが、どの程度シンクロナイゼーションを起こしているのかを分析したいと思う。

そこから最後に、シンクロナイゼーションの度合いの差異を生み出している要因に対する考察を展開したい。先ほど作成したコーディングシステムとコーディングの結果をタタに送り、彼女からのフィードバックを得てから、コーディングシステムを少し改良し、測定者間信頼性を算出する作業が次に待っている。

今は、タタが作成したコーディングシステムとコーディング結果を待っている状態だが、それらが得られ次第、次の研究フェーズに移りたいと思う。この課題の論文は、何としてもウィーンを訪問する前に執筆しておきたい。2017/3/19

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