今日は、久しぶりに恵まれた天候の中でランニングをすることができた。やはり、晴れ渡る空の中、太陽光を浴びながらランニングをすることは非常に気持ちが良い。
春の息吹を感じる風と朗らかな太陽光を全身に浴びながら、私は近くの河川沿いにあるサイクリングロードを走っていた。ランニングから帰ってくると、午前中に少しばかり取り組んでいた「創造性と組織のイノベーション」のグループ課題に取り掛かった。
このグループは、ルクセンブルク人のヤン、ドイツ人のマーヴィン、オランダ人のリサ、そして私の四人で構成されている。所属プログラムに関して言えば、ヤンとマーヴィンは産業組織心理学のプログラムに在籍し、リサは社会心理学のプログラムに在籍しており、私は発達心理学のプログラムに在籍している。
国籍のみならず、専門に関しても非常に多様性の確保されたグループだと言える。こちらのグループは、「複雑性とタレントディベロップメント」のグループにも劣らず、共同作業に取り組みやすい雰囲気がある。
今回のグループ課題は、以前紹介したように、フローニンゲン大学がより創造的な研究を行うために、実証研究に基づいたコンサルティング案を提出することにある。最終成果物の中には、問題分析、問題を解決するために有益な理論モデルの選択、過去の実証結果と選択した理論モデルに基づいた具体的なアクションプランを盛り込む必要がある。
昨日のグループミーティングで合意したように、リサと私が問題分析のパートを執筆し、ヤンとマーヴィンが理論モデルの選択に関するパートを執筆することになった。二つのパートを執筆後、四人でそれぞれのパートにさらに加筆・修正を行っていく流れになっている。
ランニングから戻ってきた後に、気分もリフレッシュされ、速やかに問題分析の箇所を執筆することができた。残りの三人の執筆を待ち、来週には具体的なアクションプランの箇所を全員で執筆することになるだろう。 グループ課題がひと段落したところで日課の昼寝を20分ほど行い、そこからは研究論文の執筆に取り掛かっていた。昨日は、”Method”セクションにおける「状態空間グリッド(SSG)」に関する部分を執筆していた。
今日は、今回の研究で核となるもう一つの研究手法である「交差再帰定量化解析(CRQA)」に関する執筆を行っていた。この手法は、これまで何度か紹介してきたように、端的に述べると、二つのシステムがシンクロナイゼーション(同調現象)を起こしているのか否かを分析し、その強度についても解析することができる。
二つのシステムのシンクロナイゼーションを分析する研究手法はその他にもあるが、CRQAが最も信頼性のある手法だということがわかっている。先行研究を眺めてみると、CRQAは様々な領域における多様なシンクロナイゼーションを掴むことに有益であることがわかる。
例えば、話し手と聞き手の眼球運動のシンクロナイゼーション、視線の動きと発話リズムのシンクロナイゼーション、子供のジェスチャーと発話の複雑性とのシンクロナイゼーションなど、例を挙げれば切りがない。
このように、私たちを取り巻く世界において、二つのシステムがシンクロナイゼーションを起こしている数多くの現象を発見することができるだろう。今回の私の研究において、仮説を立てているのは、教師と学習者間の行動パターンのシンクロナイゼーションと、教師と学習者間の発話レベルのシンクロナイゼーションである。
CRQAを用いることによって、そもそも教師と学習者間の行動パターンにシンクロナイゼーションが見られるのかどうか、発話レベルにシンクロナイゼーションが見られるのかどうかを検証するつもりである。
もしシンクロナイゼーションが検出されたら、それらの度合いについてもCRQAで分析していきたいと思っている。これらの分析は全て、プログラミング言語のRを用いれば簡単に行うことができる。
実はすでにRを用いて、研究データにCRQAを適用しており、その結果を非線形ダイナミクスの専門家であるラルフ・コックス教授に先週見せていた。そこで、コックス教授からの提案で、MATLABと呼ばれる別のプログラミング言語でCRQAを実行した時の結果を照合しようということになった、
ミーティング後、早速私は、コックス教授にデータを送り、現在はその結果を待っている。両者の結果が合致していることを望む。2017/3/10