今日は午前中に、研究論文の “Method”のセクションを執筆していた。今回の研究では、「状態空間分析」「トレンド除去変動解析」「交差再帰定量化解析」という三つの手法を適用する予定であり、本日執筆を終えたのは、「状態空間分析」に関する記述である。
この手法は、ダイナミックシステムの挙動を状態空間において視覚的に捉えることを可能にする。特に、ダイナミックシステムの挙動がアトラクター状態を示すのかどうかを特定することも可能であり、さらには、アトラクター状態の強度までも分析することができる。
状態空間分析は、ダイナミックシステムの挙動に関してその他にも重要な情報をもたらしてくれる手法であるが、今回の研究では主に、アトラクターの種類とアトラクター状態の強度を分析するために活用しようと思う。
状態空間分析を最も簡単に活用するソフトウェアに「状態空間グリッド(SSG)」というものがあることを以前紹介したように思う。このソフトウェアを使うと、発達科学者のイサベル・グラニックの研究を例にとれば、親と子供間における感情状態の変遷を分析することができる。
彼女の研究では、親の感情状態と子供の感情状態という二つの変数の関係を一つのシステムと見立て、そのシステムが状態空間の中でどのように動くのかを分析している。より具体的には、親の感情を四つの種類に分類し(敵対感情、否定感情、中立感情、肯定感情)、子供の感情についても同様の分類をして、4×4のマトリクスとして状態空間を構成する。
親子間のやり取りの推移に応じて、親と子供の感情の組み合わせがどのように推移するのかを視覚的に捉えることを可能にするのがこのソフトウェアの特徴である。時には、親が子供に肯定的な感情を持っていながらも、子供が親に対して否定的な感情を長らく持っているかもしれない。
その場合には、状態空間のマトリクスの中で、(親:子供)=(肯定感情:否定感情)がアトラクター状態とみなすことができるかもしれない。その後、親子間でのやり取りが継続していく中で、そのアトラクターを抜け出し、また別のアトラクターに落ち着くかもしれないし、絶えず感情の組み合わせが動的に揺らぐ可能性もある。
状態空間グリッドを用いれば、このような分析を簡単に行うことができるのだ。グラニックの研究にせよ、今回の私の研究にせよ、二つの変数関係を一つのシステムと見立ているため、状態空間は二つの変数から構成される。
しかし、より多くの変数を上体空間グリッドを用いて分析することも可能である。ただし、これまでの文献調査をもとにすると、三つ以上の変数を用いて状態空間分析をしたものはほとんど見かけたことがない。
そうした研究にも今後着手してみたいと思う。とりあえず、状態空間グリッドについて説明する箇所を執筆し終えたため、今から「交差再帰定量化解析」に関する箇所の執筆に取り掛かりたい。
日本語での日記のみならず、英語での学術論文の執筆を毎日行うことを新たな習慣にしたことを思い出し、明日も少しでいいので、論文の執筆に取り掛かりたいと思う。ピアニストが毎日ピアノを演奏するように、彫刻家が毎日彫刻を掘るように、そして、人間が毎日呼吸をするのと同様に、私も日記と論文を毎日執筆したいと思う。2017/3/9