夕方から小一時間程度の時間を使って、九月から進学する予定の「実証的教育学」のプログラムに出願するための志望動機書を作成していた。このプログラムに関しては、かなり以前から調査をし、チリ人のプログラム長にすでに連絡を取ることによって、このプログラムの中で自分の研究をさらに進めていくことができると判断していた。
私の中で、学習理論や教育心理学に関する知識を体系的に持っておきたいという思いが以前からあったのだが、それらを本格的に学ぶ機会がこれまでなく、このプログラムを通じてそれを実現させたい。また、現在私が携わっている実務上の理由として、このプログラムは非常に有益であると判断した。
具体的には、現在従事している発達科学に基づいた成長支援コーチングや、オンラインラーニングのプロセスや成果をより実証的に探究するために、このプログラムは充実したカリキュラムとトレーニング機会を提供してくれるだろう。
それと同時に、私がこのプログラムに進学する最大の理由は、何はともあれ、フローニンゲン大学をたった一年で離れることはできないということである。この大学に在籍する数多くのすぐれた研究者から学ぶことが以前として多くあり、また、彼らと幾つかの共同研究を行い、査読付き論文を幾つか執筆するまでは、この大学を離れることを考えることはできない。
それぐらいに、フローニンゲン大学は私にとって、研究に打ち込むための最適な環境が整っていると言える。そのような思いを胸に秘めながら、志望動機書の草稿を無事に執筆することができた。
プログラムの応募の締め切りは二ヶ月ほど先なので、しばらくこの草稿を寝かせておき、再度また加筆・修正を加えたい。 その後、「創造性と組織のイノベーション」のコースで課題となっているグループワークに取り掛かった。前回のグループミーティングで次のミーティングまでに実行するタスクを洗い出し、今日はそのタスクに取り掛かっていた。
フローニンゲン大学の研究の質と量を上げ、より創造的な研究を世に送り出すにはどうしたらいいのかを考えよ、という課題に対するレポートを書くために、今日は、ドイツ人の友人である博士課程に所属するヤニックにあれこれと大学の研究環境について質問をしていた。
特に、博士課程に所属する者が、研究者としてのスキルを高めるためにどのようなトレーニングを受けており、教授陣からどのようなサポートを受けているのか、自分の研究を進めていく上での障害は何か、などについて質問をしていた。
それらの質問に対して正直に回答してもらうことを促したが、やはり肯定的な内容の回答が多かった。実際のところ、フローニンゲン大学の研究環境が整っていることは十分に承知であったため、ヤニックがそのような回答をすることは予想していたのだ。
だが、それでも私が知らないような情報をヤニックは提供してくれたので、それらは非常に参考になった。研究者としてのトレーニングの充実ぶり、メンターとなる教授陣のサポート、学科間の垣根の低さ等を考えると、フローニンゲン大学で博士号を取得するという選択肢が、私の中でさらに強いものになった。
ただし、米国の大学院で博士課程を取得するという選択肢も依然として私の中に強くあるため、そのあたりは慎重に検討したいと思う。そのような検討をしていると、気付かない間に、欧米の大学院で取得する修士号の数が四つになりそうである。
発達支援に携わる実務家としての道を継続して歩むことは私にとって非常に大切であり、研究者としての道も同時に歩んでいこうと思ったのはここ数年以内のことであるから、研究者としてのキャリアは焦らず着実に築き上げていこうと思う。
その一環として、九月からの「実証的教育学」のプログラムは、私にとってとても大切なものになるだろう。2017/2/26