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771. 理論モデルと数式モデルを構築する面白さ


今日は夕方から、「複雑性とタレントディベロップメント」というコースの第三回目のクラスに参加した。このコースを担当しているのは、マライン・ヴァン・ダイク教授とラルフ・コックス教授であり、毎回のクラスを通じて、二人からは多くのことを学ばせてもらっている。

毎回のクラスでは最初の一時間は二人の教授からのレクチャー、その次の一時間はグループワーク、そして最後の一時間は各グループに対して一人の教授が丁寧なフィードバックを提供してくれるという構成になっている。

今日のクラスでは、特にグループワークの課題が非常に面白い内容であった。言葉を獲得して少しばかり時間が経った三歳ぐらいの子供とその母親のやり取りを録画したものを観察し、二人のやり取りをダイナミックシステムアプローチの観点から分析するというものである。

最初に課せられたのは、録画の中で展開される二人の会話に対して、最初の一分半ほどのやり取りを文字に書き起こすことであった。書き起こされたトランスクリプトに対して、一つの単語を発している行動、二つか三つの言葉を発している行動、四つ以上の言葉を発している行動、という三つのコードを当てはめていった。

そこから、その子供が母親とのやり取りを通じてどのように言語を発達させていくかの理論モデルを構築することを行った。具体的には、それら三つのコードを、その子供が獲得する言語体系というシステムの構成要素とみなし、それら三つの構成要素間の関係を把握することが最初のステップであった。

例えば、一つの単語を発する行動は、二つの単語を発するための前提条件となり、一つの単語を使えれば使えるようになるほど、徐々に一つ一つの単語を組み合わせ、二つの単語を発することができるようになる。

そのため、一つの単語を発する行動は、二つの単語を発する行動に正の影響を及ぼしうる。一方、二つの単語を組み合わせて発することができるようになってくれば、それぞれの言葉を別々に発することは減少していくと考えられる——例えば、”I cry”というセンテンスを言えるようになると、 “I”と “cry”を一語で用いることは減少する——。

そのため、二つの単語を組み合わせることができる行動が増えれば増えるほど、一般的には一つの単語を発する行動は減少していく。ゆえに、二つの単語を発する行動は、一つの単語を発する行動に負の影響を及ぼしうる。

もちろん、私たち成人でも、”Yes”や”Yeah”という一単語を発することがあるため、一つの単語を発する下限値というものを想定しなければならない。特に知性や能力は、このように複数の要因が相互に影響を与え合っており、一方向的な因果関係を考えてはならないのだ。

実際のグループワークでは、このように三つの要素の相互作用を考慮に入れて、理論モデルを構築し、それを数式モデルに変換していった。今回は、ダイナミックシステムアプローチの数式の中で最も基本的な「ロジスティック方程式」を活用し、数式モデルを組み立て、それを実証データと照らし合わせながらコンピューターシミレーションを実施した。

その結果、私たちが構築した理論モデルが組み入れられた数式が示す三つの要素の発達プロセスは、実証データが示す形と非常に似通っていることがわかった。グループワーク後に、ヴァン・ダイク教授からもフィードバックがあったが、私たちはどうやら、筋の良い理論モデルを立てることができたようである。

今回のグループワークを通じて、改めて、システムの構成要素間の関係性を考察して理論モデルを構築することの面白さと、そこから数式モデルに変換し、コンピューターシミレーションを実施する醍醐味を味わうことができた。

今後の研究やコンサルティングを見据えて、日々の生活の中で目にするダイナミックシステムに対して、その構成要素を分析し、暫定的な理論モデルをその場で即座に構築するという訓練を自らに課していきたい。2017/2/22

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