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770. 研究とコンサルティングへの充実感


今朝、久しぶりに、以前オランダ語を一緒に履修していた中国人の友人であるシェンから連絡があった。シェンは言語学科の修士課程に所属し、欧州の幾つかの言語体系を研究している。

そのシェンから、親切にも夕食のお誘いがあった。以前から、中華料理を一緒に食べようという話をしていたのであるが、なかなかお互いの日程が合わずにいた。

幸いにも、今週の金曜日はお互いに都合が良く、シェンの自宅で夕食を共にすることにした。 その日は午前中から、フローニンゲン大学が無料で提供するオンラインコース(MOOC)の撮影が行われているザーニクキャンパスに足を運び、これまでのコースに関するデータを見せてもらうことになっている。

フローニンゲン大学のMOOCを統括するディエナム教授と先日ミーティングを行い、現在の課題について話を聞いていた。私は、MOOCに関してダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスの手法を活用した研究を純粋に行おうと思っていたのだが、ディエナム教授から、研究かつコンサルティングのようなものを合わせて行って欲しいという依頼を受けたのだ。

ディエナム教授曰く、フローニンゲン大学のMOOCに関わるチームは、大量のデータに対してどのような角度からどのような分析手法でアプローチしていけばいいのかを悩んでいるようであり、研究成果をより良いMOOCの実現に向けてどのように取り入れていけばいいのかについて、多くの課題を抱えているようであった。

私としても、科学的な研究手法を駆使しながらコンサルティング活動に従事できることほど意義を感じるものはないので、ディエナム教授を含め、フローニンゲン大学のMOOCに関わるチームと協働できることを嬉しく思う。

相変わらず形而上学全般を含め、哲学や思想に触れることは、私に大きな喜びをもたらすが、ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスの世界に足を踏み入れれば踏み入れるほど、科学が私にもたらす喜びも増している。

世界的に名門と呼ばれるコンサルティング会社が、科学的な手法に精通した多くの博士号取得者を抱えているということに対して、その納得性が私の中でより増している。

理系的な発想や科学的な探究アプローチがコンサルティングに求められる発想やアプローチと非常に似ているということに加え、単純に、特定分野における科学的な手法に精通している博士号取得者は、それらの手法をある現象に適用することによって、独自の真実を照らし出すことができるという強みを持っているように思われる。

正直なところ、それが人財開発コンサルティングであれ、成長支援コーチングであれ、ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスを学ぶ前の私は、発達現象に関する多くのことに盲目的だったと思うのだ。

それはなぜなら、それまでの私は基本的に、既存の発達心理学の枠組みだけを持って発達現象を捉えていたからであり、ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスを活用することによって初めて明かされる、より精密な発達プロセスやメカニズムを見落としていたからである。

まさにちょうど、ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスを駆使しながら、これまで自分が携わってきた実務内容を実証的に検証したいと思っていたところだったのだ。その一環として、MOOCというオンライン学習に関するコンサルティングに対して、ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスを適用することができるというのは、願ってもない依頼だったのだ。 自宅の書斎にこもりながら文書を読むことと書くことは、非常に大きな充実感を私にもたらすが、読むことと書くことを通じて獲得された知識と技術を、研究とコンサルティングに活用することができるというのは、何にも代えがたい充実感を私にもたらすのである。

専門書や論文を読むことと文書を書くこと、研究とコンサルティング、そして何より、生きることそのものが全て結びついた日々を過ごすことができて、至福さの中に溶け込んでしまいそうである。2017/2/22

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