早朝六時に起床し、いつも通り、朝の習慣的な実践から午前中の仕事に流れるように事を進めていた。しかし、九時半を過ぎたあたりに、少しばかり思考が明瞭ではないと思ったので、少々仮眠をとることにした。
大量の文献を読んだり、大量の文章を書いた後に、思考が冴える場合もあれば、逆にその反動からか、思考が朦朧とすることがある。そうした時に仮眠をとると、身体のエネルギーが激しく充電される体験をすることが多い。まさに今日がそうであった。
ヨガのシャバーサナの姿勢で仮眠を取っていると、突如として全身の中を黄色い エネルギーが駆け巡ったのだ。その様子は、私たちの目には見えないところで振動している細胞が、最大限に揺れ動いた時に生じるエネルギーを彷彿させるものである。
中学生の頃に初めてこの体験に見舞われた時は、少々面食らったが、人間の身体には私たちの目には見えない微細なエネルギーが常に内包されているという知識を得て以降は、定期的に訪れるこの体験を冷静に受け止めれるようになっている。
この体験を一言で表現するなら、微細なエネルギーの激しい振動だと言えるだろう。黄色やオレンジがかったエネルギーが全身を震わせ、そうしたエネルギーが脳の方に還流していくような現象だ。
この現象を体験している最中、意識は明確であることがその他の特徴である。ただし、自分が微細なエネルギー体そのものになるがゆえに、物理的な身体感覚はなく、外界からの刺激が通常の五感を通じた感覚とは異なったものとして体験される。
今日はその体験の最中、窓の向こうで小鳥が鳴いているのがわかったが、それを耳で聞くのではなく、頭蓋骨でその音を捉えるような感覚があった。
同時に、近所の人がドアを閉める音を耳で捉えるのではなく、その音は私の左肩に突き刺さってきた。そのような感覚を引き起こす現象に私は定期的に見舞われ、今日もそれが起こった。 全身のエネルギーが振動する渦を感じ、それが脳に完全に還流することが終わりを告げると、何事もなかったかのように通常の感覚に戻る。私はベッドから起き上がり、寝室を後にして、再び仕事に取り掛かった。
「複雑性とタレントディベロップメント」のコースで課せられている論文の続きを読み、ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスの手法以外にも、統計学の手法において、「隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model)」や「Latent Differential Equation Model」というモデルを活用すれば、人間の発達に潜む変動性を分析できることがわかった。
ただし、それらは統計学的な手法であるがゆえに、個人内の差異を説明するというよりも、集団のデータに潜む差異を説明することに重きが置かれているという特徴がある。いずれにせよ、今後の研究を見越して、それらの統計モデルを押さえておきたいと思う。
そして、これはいつも非常に不思議なことなのだが、そのような思いを持つときには大抵、自分の本棚を眺めると、自分がこれから探究をしようと思うトピックに触れられた書籍や論文がそこにあるのだ。
今日もまさに、隠れマルコフモデルとは一体何なのかをウェブ上の情報だけではなく、専門書を通じて調べようと思っていたときに、これまでほとんど目を通してこなかった “Individual pathways of change: Statistical models for analyzing learning and development (2010)”という専門書が本棚にあることに気づいた。
そして、その中に掲載されている一つの章が、まさに隠れマルコフモデルを用いて、両親と幼児の相互作用を分析していることを発見したのだ。ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスの手法に習熟することが優先されるべきことではあるが、こうした統計的モデルについても少しずつ理解を深めていこうと思う。2017/2/15