top of page

715. 新たな場所へ


ここ最近、様々な偶然に見舞われることが多く、今から三日前にも大きな偶然に見舞われた。ちょうど三日前の早朝に、上の階の住人であるスウェーデン人のアクセルが母国に帰国するため、彼が自宅を出発をする音が聞こえた。

アクセルがいなくなってから、少しばかりの時間、次に上の階に住むのはどのような人なのだろうかという関心が、私の頭の中を幾分占めていた。

その日の午後、誰かが螺旋階段を登り、上の階の部屋に入っていく音が聞こえたので、新しい居住者が早速引っ越してきたのだとわかった。その時には手が離せない仕事に取り掛かっており、すぐに挨拶に行くことができなかった。

仕事がひと段落ついたところで、上の階に引っ越してきた新しい居住者に挨拶に行くことにした。上の階に続く階段を上っていると、何やら日本語が聞こえてきた。

私の上の階に引っ越してきたのは、京都大学から来ている日本人留学生の知人を介して話に聞いていた、日本人ピアニストの方だったのだ。この偶然にはとても驚いた。ちょうど共通の知人も引っ越しの手伝いに来ており、三人でしばらく雑談をしていた。

お互いに共通の知人を持っていることもあり、さらに、その知人から色々と話を聞いていたこともあったため、その方とは初対面であったにもかかわらず、あまりそのような気はしなかった。昨日は、その方がフローニンゲンに来る前に留学していたフランス時代の話やピアニストに関する全般的な話を教えてもらった。

これまで私にはピアニストの知り合いがいなかったため、その方の話は非常に斬新なものに映った。同時に、現在の私の専門分野である知識発達科学の観点からすると、その方の話は思わず唸ってしまうような面白いものが多々あった。

おそらく、これからの日記の中で、その方との対話から得られた新たな着眼点や発想を書き残していくことになると思う。昨日は、ディエナム教授との対話があり、そのピアノストの方との対話があったため、非常に充実した一日だったと思う。

やはり私を新たな方向と深さに向かって開かせてくれるのは他者であることを強く実感する。欧州での生活を始めて以降、日増しに他者の存在を大切に思う自己が確立されつつあるのがわかる。

他者の存在を何よりも大切なものとして、日々を過ごしていきたいと強く思う。2017/2/4

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)

bottom of page