今日は昼食前から午後にかけて、今学期に履修していた「複雑性と人間発達」というコースの振り返りを行っていた。昨日の最終回のクラスの後半は、私の論文アドバイザーのサスキア・クネン先生が担当してくださり、「モンテカルロ法」と「リサンプリング(再標本化)」という二つの手法に関する理論的な側面を学び、実際のデータを使いながら実習を行った。
特に、モンテカルロ法は、ダイナミックシステムアプローチを活用したシミレーションをする際に効力を発揮する。なぜなら、基本的に、人間の発達現象に関する研究を行う際に、得られる時系列データは少数であり、それらのデータは往々にして正規分布を示さない。
モンテカルロ法を活用すれば、そのように正規分布を示さないデータに対しても仮説検定ができる。このモンテカルロ法に関して、お決まりのように、博士課程に所属するドイツ人の友人であるヤニックと共に実習をこなした。
ヤニックは、ダイナミックネットワーク理論に関する知識のみならず、統計学に関する知識も豊富なので、実習中に統計的な論点になった際は、いつも手助けをしてもらっている。昨日も、統計学に関して抜け漏れている自分の知識を補完してくれるかのような説明をヤニックは何度かしてくれた。
それによって、今回のモンテカルロ法に関する理解がより深いものになったことを感じる。このモンテカルロ法は、上記の特徴を踏まえると、私の現在の研究に対しても大きな力を発揮しうることが明らかとなった。
実際に、以前クネン先生とミーティングを行った際に、この手法の適用可能性について考えることを勧められていた。あとは、自分の中でどのような仮説を検定したいのかを明確にすることさえ行えば、技術的なことに関しては今回の実習で十分に学ぶことができたので、この手法を早速自分の研究の中で活用することができるように思う。
クラス終了後、ヤニックと少しばかり雑談をしていた。私が今年の九月からの進路に関して、産業組織心理学か実証的教育学のプログラムに進むことを考えている、と伝えると、前者に関しては同じ心理学のプログラムに分類されるため、もしかしたら進学が無理かもしれない、という指摘を受けた。
産業組織心理学科は、比較的自由に選択科目を履修することができるため、ネットワーク科学に関する二つのコースを是非とも履修したいと考えていた。もし仮にこのプログラムに進むことができなかった場合には、当初の計画通り、実証的教育学のプログラムに進み、履修単位を超える形でネットワーク科学に関するコースを最低一つは履修したいと思う。
実証教育学のプログラムに関しては、プログラム長に先日メールをし、自分の関心領域の研究と探究ができるのかを現在確認中である。今年の九月からもう一年ほどフローニンゲン大学に残って研究を是非とも続けたいと思っているのだが、その後、米国に戻るのか、フローニンゲンにとどまるのか、あるいは他の国に行くのかはまだ定かではない。
昨日の振り返りを行っていると、すっかり辺りは夕方の雰囲気に包まれていた。書斎の窓から、夕日によって赤紫色に輝く雲海が見える。相変わらず、赤紫色に輝く雲はとても美しい。
このような美を拝めることに対して、とても贅沢な気持ちになった。それと同時に、この美を独り占めするのではなく、多くの人と共有したいという強い想いが湧き上がっていた。
美の創出と共有を真に実現させるためには、まだまだやらなければならないことが私の中には沢山ある。2017/1/20