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645. 新たな習慣


今日は早朝から雨がしとしとと降り注いでいる。午前中の仕事をあらかた済ませ、書斎の窓越しにひじかけながら、景色をぼんやりと眺めていた。

一息入れたいとき、私は書斎の窓から見える景色にいつもお世話になっている。窓から見える景色は、抽象世界から私を物理世界へ連れ戻してくれるのだ。

日々の探究と仕事は、常に私を言語世界の中に招き入れる。言語世界での活動に一息入れたいときに、書斎の窓から見える景色はまさに私を休息状態に導いてくれるのだ。

書斎の窓から見える景色は、めぼしいものは特に何もないのだが、逆にその簡素さが私を深く落ち着かせるのかもしれない。綺麗に整備された道路と赤レンガの家々を中心に、開放的な空が見える。

そして、この時期には枯れてしまっているが、街路樹もまたこの景観になくてはならない存在である。そうした景色の中に、時折嬉しい訪問者がやってくる。それは窓越しに姿を表す小鳥であったり、大空を優雅に群泳する中型の鳥たちである。

こうした何気ない景観と動植物に私はどれだけ支えられていることか。それらの支援のおかげで、日々の生活が調和を成しながら縁取られていくのである。

オランダに戻ってきて、食生活を少し見直したことを紹介したように思う。基本的に朝の食事には何ら手を加えていない。前日の仕事の負荷により、朝は五時か六時に起床するのが習慣であり、起床直後に二杯の水を飲む。

そして朝の習慣的な実践を行った後に、一杯のお茶を飲む。そこから、七時半にスムージーを飲み、八時半あたりにリンゴ一個を食べ、十時前にバナナ一本を食べるということが朝の食事となっている。

新年を迎え、気持ちを新たにしようとする無意識的な働きかけがあったのだろうか、今日からなぜだか、リンゴを食べながらメールをチェックする習慣を破棄した。これまでは早朝に一度メールをチェックし、昼食後にメールを再度確認するということを行っていたが、早朝にメールを確認することはやめようと思った。

朝の時間帯にメールを確認しなければ、余計な思念に囚われことなく、集中して探究や仕事を進めることができるように思う。今朝から何気なく始めた習慣は、リンゴを食べながら書斎の壁に飾っている絵画作品を鑑賞することである。

絵画作品の鑑賞と言っても、リンゴをかじりながら二つの絵画を何も考えずに眺めているだけである。本来であれば、リンゴを食べることに意識的になった方がいいのかもしれない。

しかしながら、リンゴを食べる行為と絵画作品を眺める行為は、とても良い調和を成し、深い休息を私にもたらしてくれるように思った。少なくとも、リンゴを食べる行為とコンピューターを眺める行為との相性よりも格段に優れたものであることは確かである。

ニッサン・インゲル先生の作品を、今回の一時帰国の際に受け取ることができて本当に良かったと思っている。先生の作品が持つ変容と癒しの力にいざなわれて、こうした新しい習慣が生み出されたのかもしれない。2017/1/11

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