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563. 待ちわびて


昨日は、丸一日何かをインプットするような作業に従事せず、時間の許す限りアウトプットの作業に従事していた。今日は、自己を対極に振り、午後からはインプットに多くの時間を充てたいと思う。

一つの大きな流れの中に自分がいるためか、ここ数年の自分では想像ができないくらいに、両者のバランスが最適なのだ。「バランス」というのも、なかなか奥が深い言葉である。

私が今感じているバランスというのは、インプットやアウトプットがほどほどの状態にある、というようなことを意味していない。それとは全く逆に、どちらも非常に極端な投入量でありながら、それらが新たな次元に存在する均衡点で落ち着くようになった、という意味である。

面白いもので、どうやら、自分の中にある「バランス」というものも、質的に変容するらしいのだ。自分がバランスと捉えているものが、どの次元にある均衡点なのかを、今後も観察していきたいと思う。

今日から数日間、フローニンゲンの街は晴天に恵まれるようである。クネン先生との先日のミーティングで話題になっていたように、フローニンゲンの気温の変動性が高くなっていたのは、まさに次の安定的な状態に移る前触れだったのだと思う。

つまり、冬に入ったかと思うような寒い日が続く一方で、秋らしさを残す少しばかり暖かな日が再びやってくるというような、変動性に満ちた天候状態は、本格的にやってくる冬を知らせる現象だったのだと思う。

実際に、明日からの最適気温はマイナスが続き、明後日の最適気温はマイナス五度になるそうだ。そのような厳しい寒さの中にあっても、今の自分の充実感が色あせることは決してない。

こうした厳しい寒さそのものが、私の充実感の中に溶け込んでいくかのようである。今、自分が理想とするような環境の中で生活できることは、何にも代えがたい喜びである。

理想的な環境を見つけることは難しく、さらには、そうした環境に飛び込んでいくことも難しい。とにかく私は、厳しさを超えた厳しさを体現している環境を長らく求めていたのだと思う。

そうした超越的な厳しさを持った環境でしか得られぬことや磨かれぬものがある、と知っていたからである。このような環境を見つけること、そしてそのような環境の中に自己を置く日がやってくるまで、数十年の月日を要した。

自分の中で、ここからようやく何かが始まるのだということを感じる。そうした到来感と共に日々の生活を送っているのが、今の私の姿なのだと思う。明日からの本格的な冬の到来と、新たな自己の到来に対する待ち遠しさを味わいながら、今日もまたいつも通りに自分の仕事に取り組んでいきたいと思う。2016/11/26

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