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557. 研究仲間


今日は午後から、心理学科に所属する修士課程の学生を対象にした「研究倫理」に関するレクチャーに参加してきた。これは、私が所属しているプログラムの中のコースの一つではなく、所属学科が修士課程の学生に義務付けているレクチャーである。

普段の社会行動科学キャンパスではなく、自宅から少し離れたところにある、ザーニクキャンパスでこのレクチャーが行われた。ザーニクキャンパスまでは、徒歩30分弱かかるが、そこまで歩いていくことは、とても良い運動になる。

普段活用しているランニングコースを通っていけば、ザーニクキャンパスまでは最短距離で行けるのだが、時間に余裕があったため、いつもとは違うコースを歩きながら、ザーニクキャンパスに向かっていった。真昼にもかかわらず、キャンパスまでの道中は非常に静かな空間が広がっていた。

鳥の綺麗なさえずりがどこからとなく聞こえてくる。幾つかの種類の鳴き声に耳を傾けながら歩いていると、自分がどんどんと周りの環境と一体となっていくことがわかった。周りの環境との一体化が進めば進むほど、自分の意識はより透明かつ鮮明なものになっていった。

自分にとって、歩くことは、思考の明晰化を進めてくれる素晴らしい実践行為だと改めて思った。観想的な意識状態に入りながら歩くことは、たいてい、その時まで解決の糸口が見えない問題に対して、新たな視点をもたらしてくれる。

また、普段は気づかない自分の内面世界の機微を教えてくれることもしばしばである。キャンパスまでの散歩に没頭していると、いつの間にやら目的地に到着した。この場所は、先日受けた「タレントディベロップメントと創造性の発達」というコースの最終試験が行われた建物である。

私はてっきり、この場所はコンピュータールームしかないものだと思っていたのだが、そうではなく、大きなレクチャーホールもある。まさに今日の研究倫理に関するレクチャーは、そのレクチャーホールで行われた。

このレクチャーホールはかなり大きく、そして、非常にモダンな造りになっており、中に入った瞬間に少々驚いた。到着した時間が少し早かったためか、席を選ぶ余地が多分に残されており、私はレクチャーホールの前方の席を確保した。

しばらくすると、先日の「複雑性と人間発達」のコースで知り合ったピーターが私を発見し、一緒にこのレクチャーを聞くことにした。実は、ピーターとは、「タレントディベロップメントと創造性の発達」のコースの時にも、教室で一言二言挨拶を交わしたことがあったのだが、その時にはお互いの名前を伝え合うことはなかった。

少人数の「複雑性と人間発達」というコースをお互いに履修しており、先日のクラスの後、偶然にも大学の図書館内のコーピー機の前で論文の印刷待ちをしていたところ、ピーターも論文の印刷をしにやってきて、そこでお互いの自己紹介を含め、研究テーマなどについてあれこれ雑談をすることがあった。

ピーターはとても気さくなオランダ人であり、日本にも何度か旅行で訪れたことがあるらしく、とても親近感が湧く存在である。さらに、研究に関して、お互いに二つの事柄を共有している。それは、教育とダイナミックシステムアプローチである。

私は現在、成人教育に焦点を当てているが、成人期前の教育にも依然として強い関心がある。ピーターの関心は、成人期前の教育にあるが、彼もまたダイナミックシステムアプローチを自分の研究に応用しようとしている点において、私と非常に似ている。

明日の「複雑性と人間発達」の第二回目のクラスの前に、カフェテリアでドイツ人の友人であるジェレミーとお互いの研究について意見交換をすることになっているが、ピーターとも近々意見交換の場を設けようと思う。研究に関する同志を持てたことは、これまでの私の状況を踏まえると、今の自分にとって、何よりもかけがいのないことである。

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