「タレントディベロップメントと創造性の発達」というコースの最終試験がいよいよ明日に控え、昨日の多くの時間は、試験に向けた学習に費やされていた。その学習がひと段落すると、次に研究提案書の練直しに取り掛かった。
クネン先生が一週間ほど休暇を取られていたため、先生とのミーティングは三週間の間隔が空くことになった。その期間、前回のミーティングでいただいた助言をもとに、研究提案書を再度練り直していた。できれば今回のもので落ち着くことになってほしいと思う。
研究提案書が形となれば、定性データをカート・フィッシャーのスキル尺度を用いて定量化する作業と、定性データから概念カテゴリーを見つけていく作業を進めていきたい。おそらく、作業量としてはここが一番多いプロセスになるだろう。
自分で研究を進めながらしばしば思うのは、研究とは華やかなものではなく、非常に地道な作業の連続だ、ということである。さらには、他人にとってはそれこそ些細に思われるようなことでも、研究者は地道に研究を続けていく。
研究者それぞれに関心テーマが異なり、一つとして同じ論文がこの世界に存在しないことを考えると、完成した研究論文は、その人の固有性や独自性が顕現されたものなのだと思う。昨日言及したように、ランナーの走り方が千差万別であるのと同様に、研究論文のテーマも構成も内容も千差万別なのだ。
そうした千差万別の研究論文も、実際には地道な作業の結晶であることは共通しているだろう。彫刻家が彫像を一つ一つ彫っていくのと同じように、研究者も現象を一つ一つ解明していく。それと同時に、研究者の中で、自分が扱う言葉が徐々に彫琢されていく姿も面白い。
あるテーマについて研究を深めていけばいくほど、そのテーマにまつわる言葉の統一体が進化していくのである。ここにも、言葉の自己展開と、さらには研究の自己展開を見ることができる。
研究提案書の練直しが終わると、今度は第二弾の書籍について構想を練っていた。前回の作品も大きな構成を考えてから執筆を始めたのだが、執筆することを通じて、ストーリーを生み出していったという事実がある。
今回は、より明確な構成を作ることに時間をかけようと思う。書籍に盛り込みたいと思う概念や理論などを最初に列挙し、そこからストーリー構成を考えていきたい。今回の作品も二人称言語の対話形式にしようと思う。
対話形式を好まない人がいるのは承知だが、とかく難解と思われがちな構造的発達心理学の概念や理論を紹介するにあたっては、対話形式の体裁をとる方が望ましいと思う。仮に一人称言語で記述する形にするのであれば、ここでの日記と同じような雰囲気になるだろう。
また、三人称言語を用いるのであれば、それこそ学術論文や専門書のような体裁になってしまう。小難しいと思われがちな構造的発達心理学を題材にする場合、やはり二人称言語の対話形式が今のところ最もふさわしい著述形式なのだと思う。
一人称言語や三人称言語での著述は、もうしばらく後になるだろう。また、今回の書籍も二人称言語の対話形式にしようと思った理由として、私は普段、その人称言語をあまり使わないためという理由もある。
日々の生活の中で、自分の思念を一人称言語で書き留めることばかりを行っているし、研究論文という性質上、それを三人称言語で綴っていくことばかりを行っている。つまり、私の生活の中で、二人称言語というのは欠落しがちな著述形式なのである。
言語を活用する人間として、それら三つの著述形式をある程度バランスを持って活用しなければ、コミュニケーションを含めた精神生活上、何らかの問題を引き起こしかねない、ということを経験上知っている。ゆえに、今回の書籍も読みやすさを考慮し、さらには私的な理由から、対話形式で執筆していきたいと思う。