今日の午前中は、まず論文用のデータの翻訳作業を引き続き進めていた。ようやく半分ほどの翻訳作業が本日をもって終了した。その後、定性的研究手法である「グラウンデッド・セオリー」に関する参考文献を読み進めていた。
体系化された方法論を使って理論を生み出すことはこれまでそれほどなく、こうした参考文献を読むにつけ、理論を創出する方法そのものに関しても様々な研究やアプローチが存在することがわかる。理論を創出する方法は、知識体系を構築していく方法とも重なる部分があると思っており、このテーマに関しても研究という具体的な作業を進める中でより理解を深めていきたいと思う。
今日は午後から気分転換を兼ねて、街の中心部にある大学図書館で仕事をしていた。一年振りに新しいゼミナールをこの11月に開講しようと思っており、その教材を作成していたのである。全七回にわたる今回のオンラインゼミナールは、卓越性研究の最前線の動向に基づき、卓越性に関する様々な理論や概念を習得していただくことを目的にしている。
具体的には、私たちの知性や能力はどのようにして卓越の境地に至るのかというプロセスとメカニズムについて、発達理論の観点からだけではなく、他の科学領域の観点から学んでいくことを目的にしている。卓越性に関する様々な実証研究を紹介しながら、人や組織の発達について学びを深めていくことを目指しており、これまでのゼミナールで扱ってこなかった理論や概念を取り上げていこうと思う。
今回のゼミナールはこれまでのゼミナールと少し異なり、習得していただきたい理論や概念—思考や実践を深める素材—をきちんと伝えるために、各回20-30スライドほどの講義を計画している。やはり、実践の密度を濃くしていくためには、それ相応の知識量が不可欠だと考えている。
実際に私も、人間の知性や能力の発達に関する多様な理論や概念を学ぶにつれ、それらを素材として自分の思考や実践が少しずつ深まっていくのを実感している。知識というのは不思議な力を持っており、その知識があることによってしか見えない現象が存在しており——同時に盲点も生み出すが——、知識は実践を深めていく潤滑油のような役割を担っていると考えている。
つまり、人間の知性や能力の発達に関する知識が豊富になればなるほど、それらを組み合わせることによって、自分や他者の発達に対してより適切な関与と献身を可能にすると思うのだ。今回は発達理論の枠組みだけでは見えてこない現象にも光を当てるため、様々な科学領域から人間の知性や発達に関する知識を習得していくことを目指している。
クラスの中で、学術的な概念や理論も元にそれらをどのように実践の場で活用していくのかについてもディスカッションをしていくつもりである。卓越性に関するゼミナールはおそらく今回が最初で最後であるため、受講生とのやり取りを含め11月からのゼミナールが非常に楽しみである。