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404. 繰り返しと準備


今朝からいよいよ通学時の気温が10度を下回った。まだ10月に入っていないにもかかわらず、早朝の気温がここまで下がり始めたのかと驚いた。確かに辺りを見渡すと、もはや半袖で生活をしている人はほとんど見かけない。しかし、それでも私は10月までは半袖で乗り切ろうと思い、今日のオランダ語のクラスに向かう際にも上に何も羽織るものを持参しなかった。

早朝の気温は間違いなく低いのであるが、それほど寒さを感じることなく、語学センターへと向かった。私がフローニンゲンに到着してからずっと工事を続けていたクラネヴェ通りの舗装作業もいよいよ終盤に差し掛かっていることに気づいた。私が見ていないところで着実に舗装作業が進行し、ついに完成を迎える様子を見るにつけて、一つの作業を毎日継続させていくことの意義を感じる。

この工事のおかげで、クラネヴェ通りは必ずや市民にとって使いやすい道となるだろう。仮に私たちが、この工事を毎日着実に進めていた労働者の顔や名前を知らなくても、私たちの目には見えないところで着実に行われていた彼らの仕事によって、街の市民は多大な恩恵を授かることになる、と確信している。そのような思いを抱きながら、クラネヴェ通りを通り抜け、語学センターに到着した。

今日はアイルランド人のドーナと席が隣であった。私はドーナと出会うまで、アイルランドの公用語はてっきり英語だと思っていたのだが、どうやらアイルランド語というものがあるらしい。確かに現代のアイルランド人は英語を母語として使用しているそうだが、それでもアイルランド語を使用している人もまだ残っているそうなのだ。

ドーナにより詳しく話を聞くと、歴史的にアイルランド語は被支配民の言語とされており、現代においては、英語の支配力によって絶滅寸前の言語になりつつあるということである。これは私の推測だが、やはり国としてアイルランド語をどのように保護していくか、そして英語をどのように取り入れていくかについて国内で様々な議論が起こっているのだと思う。

ドーナ自身は、言語学修士課程の中のマルチリンガルプログラムに在籍している。中国人の友人のシェンは、ヨーロッパ言語を音韻論・形態論・統語論などの多様な観点から解析していくことを専門としており、ドーナの専門は、国家としてどのように母国語を守りながら他の言語を取り入れていくのか、などの政策的な観点から言語を捉えていくことにあるそうだ。アイルランドという国で育ったことと彼女の専門は密接に関係しているのだろう、と推測された。

ドーナの話を聞きながらクラスメートを改めて眺めてみると、このオランダ語のクラスの履修者の中で、誰一人として英語を単一の母国語としている者がいないことに気づいたのだ——アイルランド人のドーナにはアイルランド語があるし、インド人のブハーブナにもヒンディー語がある——。これは面白い光景だと思ったし、英語が独裁的な言語になりつつある現代社会を踏まえてみると、英語以外の言語を今に生きる私たちが学んでいくことは、後々の人類に何か貴重なものを手渡すことにつながるのではないか、と思わされた。

そして第七回目のクラスが開始された。今日のクラスではまず最初に、前回の宿題である「どこかのカフェかレストランに行き、オランダ語で何かを注文してみる」ということの振り返りから始まった。リセットの質問に対し、他のクラスメートたちは一様にオランダ語で一言述べた後に、その時の状況や結果について英語で説明をし始めた。

私はリセットからの質問を事前に想定し、その回答をテキストに書き込み、今朝もそれも口に出して言ってみるという準備をしていたため、三つのセンテンスを全てオランダ語で言い切ることができた。私にできることは、習ったことを人一倍繰り返すことであり、入念な準備しかない、と常に自分に言い聞かせている。繰り返しと準備を怠った場合、自分が何もできないことを誰よりも理解しているのだ。

そして、丹念な繰り返しと入念な準備によって、自分の中で望ましいリズムが生み出されるのを知っている。今日のクラスは完全に自分のリズムで終始進んでいったと思う。自分の学習姿勢の中に、ダイナミックシステム理論で言う「自己強化型システム」が構築されていることに気づく。

すなわち、丹念な繰り返しと入念な準備をすればするほど、強い自己効力感を持って学習を継続することができ、学習の成果がより高まっていく。同時に、学習の成果が高まれば高まるほど、より自己効力感が増し、丹念な繰り返しと入念な準備に自己をよりいっそう駆り立てていく。このようなポジティブフィードバックが自分の内側で回っていることを確かに実感する。

いかなる学習領域や実践領域においても、このような自己強化型システムを自分の中で構築していくことは、学習の進度や定着度に好影響を及ぼすと思う。私も時に、丹念な繰り返しと入念な準備を怠り、リズムを崩すことがあるので、そうした局面を極力減らし、絶えず自分のリズムで学習や実践を継続させていきたいと思う。あるいは、仮にリズムが崩れた場合であっても、そこからの回復速度を速めるような工夫を行いたいものである。

今週の金曜日にはこれまでの学習内容の定着を試す中間試験があり、それが終わればクラスメート全員とランチに出かける。中間試験に向けて、丹念な繰り返しと入念な準備を行いたい。2016/9/27

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