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162. 発達の論理(developmental logic):ボールドウィン&ピアジェ&ワーナーの観点より


領域特定型と領域全般型の発達段階モデルについて議論をする際に、まずジェームズ・マーク・ボールドウィンの功績を見ていく必要があります。ボールドウィンの理論は多くの心理学者にそれほど注目されていたわけではありません。

しかし、彼は人間の意識発達に関して重要なことをいくつか提唱しており、中でも重要なことは、人間が持つ多数の知性領域は独立した思考形態(モード)であり、それらは普遍的な成長過程を持つというものです。

また、ボールドウィンは、それらの多数の異なる知性領域を認識論的に「コントロール係数」という言葉で定義付けています。一言で述べると、コントロール係数というのは、私たちの思考と物理的・社会的な世界を結びつけるものを指します。例えば、認知的・科学的な思考形態は物質的な現実世界と結びつき、社会的・倫理的な思考形態は社会的な現実世界と結びつきます。

そして、こうした様々な思考形態が持つ普遍的な成長プロセスは「発達の論理(developmental logic)」と呼ばれます。発達の論理を簡潔に述べると、どの思考形態も差異性・統合性・複雑性・抽象性の増加を経て発達していきます。

ここで大切なことは、思考形態は対象とする知性領域を表すのに対し、発達段階というのは本来、ある知性領域の成長プロセスに現れる普遍的な特性(例えば、複雑性や抽象性の増加など)のことを指すということです。

ピアジェはボールドウィンから学びを得ていたため、若干の違いがあるものの、ボールドウィンとほんとど同様の理論モデルを提唱していました。つまり、ピアジェもすべての発達プロセスに共通する一つの構造特性を提唱していたのです。

しかし、ピアジェが真に意図していたこととが正しく理解されていないがために、多くの発達理論のテキストにおいて、ピアジェの理論モデルは「ライン絶対主義」の最たる例であるとみなされています。ピアジェの主張は、私たちが思っている以上により洗練されたものでした。

後年において、ピアジェは発達プロセスが階層性の増加を伴った統合化の過程であると見抜いていたのです。階層的な統合化というのは、発達プロセスの普遍的な特質であり、まさにそれは差異性・統合性・複雑性・抽象性の増加という観点から特徴付けられます。

階層的統合化という発想のおかげで、ピアジェは無数の知性領域におけるミクロな発達を示す実証データから様々な洞察を得ていきました。その最たる例は、一貫した発達の構造的パターンです。発達の構造的パターンに沿って、ピアジェは有名な段階モデルを提唱したのだと言えます。

ピアジェと時を同じくして、ハインツ・ワーナーは同様の現象を発見しました。ワーナーは、ボールドウィンの言葉で言うところの「発達の論理」と重なるような発達原理を発見しました。

ワーナーが述べている発達原理とは、発達は差異化が欠如した状態から徐々に差異性が増し、階層的な統合化を果たすというものです。これはまさにピアジェやボールドウィンが述べていることと重なります。

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