
前回の記事は日本で実行予定の2020年度の大学入試改革について言及し、米国で注目を集める知識活用力を測定する新たな学力アセスメント「DiscoTests」について簡単に紹介しました。今回の記事はDiscoTestsについてもう少し詳しく解説をしたいと思います。
おさらいとして、DiscoTestsはSATを始めとする知識偏重型のアセスメントに対抗する形で生み出された学力評価手法であり、認知的発達心理学の枠組みに基づいて開発された「知識活用力を測定する評価手法」です。
DiscoTestsという名前は聞きなれないと思うのでその由来を紹介すると、このアセスメントは教師と生徒の対話(discourse)を促すことを目的とし、対話という英単語の”discourse”に由来があります。
さらに、多くの生徒にとって、あるいは私たち成人を含めて、「テスト」という言葉を聞いただけで拒絶反応が起きやすいのが現実だと思いますが、本来テストやアセスメントは受けることに意味があるのではなく、さらなる成長・発達に寄与するために存在しているのです。
そうした認識のもと、Lacticは「テストを受けて生徒が気づきや発見を得て、学習意欲を高められるような楽しいテストを開発する」という思いを込めて、楽しく踊れるダンスクラブの「ディスコ(disco)」という意味もこのアセスメントの名前に組み込んでいます。
既存の学力テストでは往々にして、テストを受けて点数が算出されておしまいという事態が見られていました。つまり、既存の学力テストには生徒個人の学習プロセスの視点が欠如していたり、テスト結果のフィードバックを行うという対話の余地が存在していませんでした。
結果として、生徒はテストを何のために受けているのかわからず、自分の学力向上の喜びや学ぶ楽しさを味わえないまま、無味乾燥なテストスコアでラベリング化されるという拷問を受け続けていました。
それに対して、DiscoTestsは生徒一人一人の固有の学習プロセスを明らかにし、生徒各人の学習ニーズに沿った学習提案やフィードバックレポートを提供してくれます。日本の記述式試験の採点は必要な知識項目が網羅されているかをチェックする形で行われる傾向にありますが、このアセスメントは全て記述式でありながらも、特定領域(特定科目)の知識活用力を測定できるメカニズムを持っている点がユニークです。
このメカニズムも含めて、DiscoTestsのさらに詳しい中身は別の記事で改めて取り上げたいと思います。