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104. ダイナミックシステム理論によって浮かび上がるハイ・パフォーマンス組織の特徴


チリの組織心理学者、マーシャル・フランシスコ・ロサダは、ダイナミックシステム理論を企業組織の研究に活用している代表的な研究者です。特に、ダイナミックシステム理論を用いて、ハイ・パフォーマンス組織の特徴を浮かび上がらせた研究は大変興味深く、今回はその研究成果を紹介したいと思います。

皆さんは、ハイ・パフォーマンス組織の中でどのような対話がなされていると思いますか?例えば、会議を例にとってみると、会議中の発話パターンはどのような特徴を持っていると想像できるでしょうか?

ロサダは、組織の中でおこなわれる会議中の発話パターンに着目し、ハイ・パフォーマンス組織、ミドル・パフォーマンス組織、ロー・パフォーマンス組織の会話特性を明らかにしました。

結論から述べると、ハイ・パフォーマンス組織における対話は、動的なパターンを示し、ロー・パフォーマンス組織における対話は、静的なパターンを示しました。より厳密には、ハイ・パフォーマンス組織が示したパターンは、数学的に「カオス的アトラクター」と呼ばれます。

一方、ミドル・パフォーマンス組織が示したパターンは「リミットサイクル」と呼ばれ、ロー・パフォーマンス組織が示したパターンは「ポイントアトラクター」と呼ばれます。

ダイナミックシステム理論に馴染みのない場合、「カオス的アトラクター」「リミットサイクル」「ポイントアトラクター」という数学用語の示唆する意味を掴みづらいと思います。そのため、上記の発見事項の含意を一言で述べるならば、ハイ・パフォーマンス組織の会議は活発であり、ロー・パフォーマンス組織の会議は滞っているということです。

もう少し丁寧に述べると、ハイ・パフォーマンス組織における会議は、参加者にとって発言のしやすい雰囲気が醸成されており、会議の場が開かれた感情・思考空間として広がっています。それに対して、ロー・パフォーマンス組織における会議は、参加者にとってどこか発言しにくい雰囲気が漂っていたり、会議の場が非常に閉じられた空間となっています。

結果として、開かれた場を持つハイ・パフォーマンス組織の会議は、創造的なアイデアを醸成したり、実際のアクションにつながるプランを打ち立てることにつながります。一方、閉じられた場を持つロー・パフォーマンス組織の会議は、創造的なアイデアや実効性のあるプランを生み出すことができず、非生産的な会議だといえるでしょう。

皆さんの所属する組織における会議は、どのような特徴を持っているでしょうか?

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