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100. コーディングの4つの分析対象


今回の記事は、コーディング(発話内容分析)をする際の4つの分析対象について紹介したいと思います。

一つ目は、「発話領域」と呼ばれるものです。このカテゴリーは最も幅の広い分析対象であり、いわば知識やスキルが発揮される領域です。発話領域は、語られている内容を一般化したものであり、語られている概念の組み合わせによって定義付けられます。

発話領域は、明示的に語られているものではなく、発話者が用いている概念や発話内容に基づいて推論的に規定されるものであるため、しばしば複数の発話領域が重なり合うことがあります。

例えば、道徳心とリーダーシップは、しばしば多くの概念を共有し、各々の領域が重なり合う部分がありますが、リーダーシップと物理学という発話領域は、重なり合う部分が明らかに少ないと言えます。

二つ目の分析対象は、「テーマ」と呼ばれるものです。実際のコーディングにおいて、このテーマの特定が非常に大切になります。テーマというのは、発話領域内に見られるより具体的なカテゴリです。例えば、物理学という発話領域において、エネルギーという概念はテーマに当たります。また、リーダーシップという発話領域において、例えば意思決定などはテーマとなり得ます。

三つ目の分析対象は、「サブテーマ」と呼ばれるものです。サブテーマは、テーマに内包される形で存在し、複雑なテーマをより具体的に示したものです。例えば、物理学の発話領域において、エネルギーというテーマのサブテーマは、物体の運動などが考えられます。リーダーシップの領域において、問題解決能力は、リーダーの認知というテーマのサブテーマとなり得ます。

最後の分析対象は、「概念」です。概念は、一つの文に埋め込まれた言葉や主張などのことを指します。例えば、「科学は常に正しいとは限らない。なぜなら、科学者は人間であり、人間は間違いを犯す存在だからである」という主張を考えると、コーディングで分析対象となる概念は、「科学は間違いうる」「人間は過ちを犯す」「科学者は人間である」という要素です。

得られた発話データ内のテーマやサブテーマを特定することは、分析対象者が語っている発話領域をより明確化し、概念を特定することは、さらに詳細な情報を測定者に提供してくれます。かつて私のメンターであったセオ・ドーソンは、研究や測定の目的に応じて、発話内容分析の程度は変わりうると述べていました。

それに加えて、発話者が構築する意味は概念として顕在化するため 優れた測定者は必ず概念カテゴリに焦点を当てていると指摘していました。

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