今回焦点を当てる段階は、コモンズのモデルで言うレベル12(メタシステム思考段階)です。このレベルは、ロバート・キーガンの発達モデルでは段階5に対応し、相互発達段階に位置します。
キーガンの記述を参照すると、この段階は、リアリティは様々な関係者を通じて構築されたものであると認識し、自己の存在も多様な関係性によって絶えず創造されるものであるという認識を持っています。
それでは、今回もレベル12に到達している方の事例を見ていきたいと思います。
事例1:レベル12
A:「何かを発見することは、自分の思考がこれまで気づいていなかった認識と交差する瞬間に起きるのだと思います。つまり、これまで明確に特定化することができなかったものの存在を感じ、それがすでにそこにあるのだと十分に感じる瞬間に、発見が起きるのだと思います。」
簡易分析
Aさんは、これまで気づいていなかったものの存在とそれを特定化することを統合し、直感的な思考を用いてそれを把握することについて説明しています。レベル12において、初めてシステムの根幹部分を成すもの、この場合で言えば、存在の基底部分を認識することができ、さらにそうした根幹部分から生み出される要素を捉えることができます。
この事例において、存在部分から生まれてくる要素とは、発見につながる思考やイメージです。