それでは、これまでの記事に引き続き、レベル11(システム思考段階)の具体例をもう少し紹介したいと思います。復習として、レベル11の特徴を下記に再度列挙致します。
・問題の様々な側面に着目し、多様な視点を取ることができ、それらを統合し始める。
・問題に潜む条件を考慮し、仮説を提唱することができる。
・状況を適切に理解するために、より多くの情報を要求することがある。
・異なる解決策を統合することは困難であると理解しながら、解決策の統合を試みる。
・様々な選択肢は、複雑かつ変化する状況の産物であると認識している。
・それらの選択肢は、状況に合わせて頻繁に評価・再評価される。
それでは、いくつか実際の具体例を見ていきたいと思います。
事例1:レベル11
A:「一人の個人として、友人であることと牧師であることを同時に満たすことは可能ではないかもしれないと理解しています。つまり、ある特定の状況下において、友人であることと牧師である自分は違うであろうということです。」
簡易分析
Aさんは、一人の個人の中に、友人である存在と牧師である存在という二つの役割を見出しています。また、Aさんは、それらの二つの役割が対立しないように、両者の役割を使い分けています。つまり、二つの異なる文脈を想定しながら、二つの役割(視点)を使い分けることができています。しかし、それらの使い分けに関して確証度合いがまだ低く、両者の視点を十分に統合していないため、Aさんはレベル12への移行期にあると言えます。
事例2:レベル11
B:「これについてもう一つ言いたいことがあります。生徒の学習プロセスを評価することはとても難しく、実際に何人かの生徒、キャリアの中盤に差し掛かった生徒たちは、現在の評価システムに不満を持っています。彼らは、お互いに評価し合うような評価方法はどうかと提案してきました。つまり、生徒同士の評価が最終的な成績に組み込まれるということです。これによって、生徒はお互いに責任を持ち、クラスでの発言や活動にも責任を持ち、教師はもはや、クラスルームの活動を制御する警察官のような役割を担う必要が無くなります。」
簡易分析
Bさんは、伝統的な成績評価システムと生徒が互いに評価し合うという新しいタイプの成績評価システムを比較しています。Bさんは、生徒が提案した成績評価システムの要素を評価していますが、それらの要素に依存しすぎており、それらの要素を十分に統合化しているとは言えません。そのため、レベル11の要素を満たしながらも、レベル12には到達していないと言えます。