前回の記事で、代表的な新ピアジェ派の研究者の名前を列挙しました。改めて紹介すると、パスカル・レオン、ロビー・ケース、グレイム・ハルフォード、カート・フィッシャー、アンドレアス・デメトリオの5人が新ピアジェ派の代表的人物です。5人の発達研究者の理論やアプローチの仕方は、それぞれ独自性を持っているのですが、大きく分けると下記の3つに分類することができます。
まず、パスカル・レオン、ロビー・ケース、そしてグレイム・ハルフォードの理論を一括りにすることができ、彼らは認知機能の情報処理能力に焦点を当てていました。より具体的には、発達の要因として作業記憶の役割を強調しています。
つまり、彼らは、作業記憶と認知的発達との間に直接的な因果関係が存在すると仮説を立て、情報処理能力の向上が次なる認知的発達段階を引き起こすと想定しています。
二つ目の分類に当てはまるのは、カート・フィッシャーの理論です。フィッシャーの理論は、一言で述べると、認知的発達の社会的側面や学習的側面を強調しています。言い換えると、フィッシャーのアプローチは、情報処理理論というよりも、社会的・文化的な発達理論や学習理論に影響を受けています。
そのため、フィッシャーは、認知的発達の情報処理的側面ではなく、スキル発達の観点から人間の発達を捉えようとしています。さらに、フィッシャーの理論が特徴的なのは、下位の発達レベルから上位の発達レベルへ至る過程を、潜在的な構造に帰するのではなく、社会的・文化的な影響に帰結させている点です。
最後の分類は、アンドレアス・デメトリオの理論です。デメトリオの理論のエッセンス部分だけを抽出すると、デメトリオは、認知が持つ様々な領域を考慮し、発達における自己認識・自己統制機能に着目し、発達の個人差を探求しています。
新ピアジェ派の代表的人物の理論を3つに分類すると、上記のようになります。この記事が、新ピアジェ派の理論分類に関して、大きなピクチャーを描くことに貢献できたのであれば幸いです。
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